日本を代表する文豪の一人、吉川英治。
戦中戦後を青梅の地で過ごした縁で、この地に記念館もあります。
吉川文学は、『宮本武蔵』や『新・平家物語』など、時代小説の新境地を開き、国民文学作家としてたくさんの人々に愛されてきました。
短編・長編を含め、世に残された数は240作品。
それらの蔵書を含め、2万点もの貴重な資料が吉川英治記念館には所蔵されています。
また、敷地内には展示室のほかに、昭和19年から昭和28年まで暮らしていた母屋もあります。
疎開してきたと思われがちですが、実はずっと以前から青梅に土地を探していた中に見つかった家だったのだとか。
もともと青梅という土地に興味を惹かれていたのだそうです。
この地で、戦時中も比較的穏やかに執筆生活をつづけた英治。
そんな中、母屋の庭でB29の墜落を目撃したことがありました。
そのとき、「敵軍も同じ人間に変わりはない。厚く弔ってあげよう」と、一緒に目撃した長男の英明さんに語ったそうです。
実は昭和7年に書かれた「函館病院」という作品に同じエピソードが登場します。
英治がこういった深い思いやりのある人物だったことがわかります。
そうした人間味こそが、大衆の心を掴んでいたのかもしれません。
しかし、昭和20年。
敗戦と共に英治は筆を断ちます。
自身が書いた作品が若者を鼓舞し、戦地へ送る一助となってしまったのではないか・・・
そんな思いが、英治の繊細な心をひどく苦しめ、執筆から遠ざけたのです。
「私は世の人々から忘れられたい」
そう言って、晴耕雨読の生活を送ったそうです。
地域の人々と積極的に交流をもち、俳句の指導や公民館建設などに力を注いだ英治。
そうした時間が、少しずつ英治の心を癒したのでしょうか。ふたたび執筆活動を再開するようになりました。
昭和25年、生涯の大作と言われる『新・平家物語』がはじまります。
戦争という時代に翻弄されながらも、敗戦の挫折を乗り越え、
この青梅を「再生の地」として再び輝き始めた吉川文学。
吉川英治の命日の集い「英治忌」が、今年は9/6に催されます。
来館者に冷茶やお酒を振る舞うほか、お茶会なども。
ぜひご参加ください。
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吉川英治記念館
青梅市柚木町1-101-1
0428-76-1575
開館期間 春季:3〜5月 秋季:9〜11月
休館日 月曜日
開館時間 10:00〜17:00
Pあり
地図==================