障がい児の第四の居場所をつくりたい 支援が必要な子どもと家族の会
個性を認め地域の一員として共生
いま、子どもたちを、かつてのように地域で見守り、社会全体で育てようという機運が高まっています。このまちでも「ふっさ子の広場」や、このコーナーでも紹介した「おじいさん会」や「おやじの会」、「老人クラブ・女性部」などなど、地域の子どもたちを見守り、健全育成を支える行政や民間ボランティアの活動が盛んです。
支援が必要な子どもと家族の会「こころーど(代表・濱中供子さん)」は、会の活動をサポートしてくれる協力者、支援してくれるボランティアの仲間を求めています。
いままでこの「広がれボランティア」のコーナーでは、自主的に社会福祉活動などに参加して、いろいろな奉仕活動をしているボランティアグループを紹介してきました。「こころーど」は、そんな人たち、さらに多く人たちの協力を求めている、障がいを持つ子どもと家族が中心のグループです。
障がいをもって生まれた子や、病気や事故などで障がいをもつようになった子とその家族は、他の人と同じように、元気に、懸命に生活しています。そんな子どもたちを認め、家族を見守って、支援し、遊んでくれるサポーター。一緒の活動を通じて、暮らしやすいまちづくりを考え、共に実践する仲間です。
これは老若男女、生きている人の数だけあるそれぞれの「個性」をそのまま認めて、共に育ち、社会の一員として共生していく、『元気で、いきいきしたまちづくり活動』のひとつでしょう。いろいろな疾病や障がいを含め、ひとりひとりがどのような「個性・特性」を持っていようと、それを一つの人格として認め尊重して、必要に応じて支え合う、同じ市民であるという認識に立った活動です。
単独課題解決型のグループではなく
「こころーど」は、ひとつの個性をもつ子どもの家族たちが、互いに支え合い、励まし合い、情報を交換し合うために、平成十七年に結成されました。このような会は、ともすれば、その時々の会員のニーズを満たすためだけに活動を行なうことが多く、そのニーズが満たされたときには消滅することが多いのが実情です。例えば、外国でしかできない臓器移植のための多額の費用をカンパしてもらうといった期間を限った活動などです。
「こころーど」が求めるサポーターは、障がいをもつ人も、等しく同じ市民として共生できる、市民が住みやすいまちづくりを進める(進めたい)人たちです。 会の広報で濱中さんたちは書いています。 「私たちがこの会を始めようと思ったきっかけは、私たち自身が、障がいをもつ子どものことで、悩み・戸惑い・不安・焦りなどを強く感じた時期があったからです。子どもが成長した今、振り返ってみると、困難な時期をいろんな人の助けをお借りしながら、乗り越えてきたのだと気づきます」
「この会は、もちろん私たちも、今あるニーズを満たすために活動を行なっています。しかし、自分達のことだけではなく、障がいを告知されて戸惑っている保護者の方に、あなた方だけではないのよ、と知ってもらい『障がいという個性』を持った子どもたちが過ごしやすい環境・社会にするためには何が必要なのか、一緒に考え、作っていきたいと思ったからです」
これがなかったら、当面のニーズが解決したら解消してしまう「単独課題解決型」のグループになりかねません。とはいっても、障がいをもつ子どもの保護者として、一時も気を抜けない多忙な毎日です。そんな生活の中で、非日常ともいえる活動に思いは及んでも、実際の行動は難しいのかもしれません。優しい行動型のボランティアだけではなく、企画提案のできる知恵のボランティアも必要です。そんなことから、子どもたちと一緒に遊んだり、活動を見守り、「こころーど」の活動を通じて、その視点からの「まちづくり」を考えて企画し、実践するサポーターの参加も必要でしょう。
「こころーど」は、ここから始まる道しるべになりたいという思いをこめて命名したと濱中さん。まず、当面の目的を掲げています。
●支援の必要な子どもとその家族が、住み慣れた地域で ・自分らしく生きること ・地域の人と共に、楽しく充実した人生を送ること
●孤立しがちな支援の必要な子どもとその家族へ、必要な応援をし、それぞれの成長過程で『今』を大切にしながら、地域に根ざした活動を通して、支援の必要な子どもとその家族を取り巻く環境を充実させること。 活動としては、 ・他のグループとのネットワークづくり ・学習活動 ・余暇活動(放課後活動・長期休暇活動など) ・広報活動
をあげています。
「まず、基本は障がいを持つ子どもにとっての『楽しい居場所づくり』です。 子どもがその子らしく生きていくために何が必要なのか、一緒に考えて創っていきたい。少し工夫された場所作りが必要なんだと思います。
いま、子どもたちの日常の行動範囲が狭いんです。家、学校、病院の三カ所しか居場所がありません。このトライアングル生活を、四カ所、五カ所にと広げてあげたい。そのために、いま月一回ですが、福祉センターの部屋で、あるいは不定期にプールを借りたり屋外などで一緒に遊ぶ機会をつくっています」
このような機会を増やしたい。そのために、手助けがほしいと濱中さん。まず、どんな子どもたちが、どんなことをしているのか。いまの活動を見てほしいと話します。定例会は、福祉センターで第一土曜日の午後一時半から三時半まで。役員会や屋外活動、放課後活動は、不定期に開催しています。
|