孤老の仕事部屋

家族と離れ、東京の森林と都会の交差点、福が生まれるまちの仕事部屋からの発信です。コミュニケーションのためのコピーを思いつくまま、あるいは、いままでの仕事をご紹介しましょう。
 
2008/09/15 17:27:13|プレゼンテーション
ロマンある都市 その1
ロマンある都市 PART1


 MMさんは、N県T市の市長でした。その彼が国政に挑戦することになり、その準備を開始。そのお手伝いをすることになりました。
 表選対の一員として、コミュニケーション対策、特に、若者やピジネスマンむけのコミュニケーションづくりです。まだ、ITが世に出ていない時代、印刷メディアを活用しての活動です。

 その一環としてマーケティングの実践面での第一人者、IMさんとの対談を、PR誌に掲載することになりました。司会と記事をまとめる体験は、私にとって大きな収穫でした。
 お二人の熱論は貴重な実践論として、いまなお心に残ります。実際には、一部しか掲載できず、大部分は葬られてしまいました。それが惜しく、私個人の、とっておき秘蔵データ集から、再録してみます。

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物と心のバランスのとれた 都市づくりを

司会 いま、全国のどこをさがしても、かつてのような純農村というようなところはなくなっているといわれます。日本は都市国家といってもよいほど、全国、津々浦々都市化現象が進み、これらの都市は複雑化し、多くの問題が現われてきております。いま、都市問題を避けて、産業振興や政治を語れないのではないかと思うわけです。そこで、今日はマーケティング・プランナーとして、我国の産業の発展に大いに寄与され、また、最近では、都市問題にユニークな発言と、すばらしい解決策をお持ちのIMさんをMMさんの応接室にお迎えしてお話しをいだだきたいと思います。

MM これからは、人々が豊かな生活を実現するためには、豊かな都市づくりが必要だというのが、私の現在の認識です。

IM 私は、マーケティング活動として企業の商品開発をやってきて来年で40年なんです。だから、マーケティング屋としては日本で一番古く長く現役でいるということです。質は別としましてね。
 
 その前半は企業の商品開発をしてたんです。ところが商品をいろいろ作っても、それを使う生活空間がないということで、段々街づくりになり、都市づくりをお手伝いするようになったわけです。そのプロセスでMMさんと意気投合しまして、いろいろのことをお手伝いさせてもらいましたし、実験もやらせてもらいました。
 
 マーケティングで、いま企業で安直に使う言葉にニーズという言葉があります。ほとんどの会社の社員募集のパンフレットか何かには「我が社は社会のニーズに対応して……」というふうに書いてあります。ところがニーズに対応していたら遅過ぎるというのが、私の昔からの主張なんです。みんながほしいと思ってから、それをこしらえるのでは遅過ぎる。
 
 フラストレーションという言葉があります。欲求阻止、やりたいと思ってるのにできないでとどめられること。私は「フラストレーションに対応し」という言葉を使っているわけです。ニーズに対応して、みんながほしいと思い始めてから、こんなものをこしらえましょうといってこしらえても、みんなが一斉にこしらえるから、価格の競争とか過当競争の渦の中に企業が入ってしまう。
 
 だから、私は企業から経営の何かを手伝えといわれたときに、パンフレットを見てみて「我が社はニーズに対応し……」なんて書いてる会社は、「これではもう遅いから」という形で、なかなかお手伝いできない状況になります。
 
 そういうことでいま一般の社会の人の一番のニーズは何かと考えましたら、「豊かでありたい」ということが基本のニーズですね。これはニーズというよりも、人間の基本的な欲求で〈アスピレーション〉という言葉を使いますね。
 
 日本人は昭和20年代に国が豊かになったら、きっと国民は豊かになるだろうという、一つの大きな幻想を抱いたわけですね。あるところまで国が豊かになることによって、国民もかなり豊かになってきましたですね。ところがある限界を超えたら、国はどんどん豊かになるんですが、国民は豊かにならなかったということを体験した。
 
 もう一つは、企業が豊かになれば社員が豊かになるんだという幻想を持った。だから、会社のために一生懸命働いた。ところが会社の売上げが3倍になって、社員の給料が3倍になったかというとそうじゃなくて、会社はそれによって工場をこしらえたり、何かをこしらえたりした。企業が豊かになることは社員が豊かになることではないということも体験し始めたわけです。
 
 そして日本人の現在の最後の賭けとして、都市が豊かになったら市民が豊かになるんじゃないか。2回だまされたから、それは幻想かもしれない。本当かもしれない。都市が豊かにさえなれば、俺たち市民が豊かになるんじゃないかという賭けを、いま日本人がしてるんだろうと思うんです。ですから、日本人のいま一番の欲求は、自分の住む都市を豊かにしたいという欲求だろうと思うんです。

 ですから、私はこれは政治も行政も企業も、すべてがその欲求に対応する答えを出していかなくちゃいけない時期だろうと思ってます。
 
 そういうことから思いましたときに、ギリシャ、ローマの時代から、人間が幸せであるというのはどういうことかといいますと、良い都市に生まれること。これは私がいつも言ってることです。ところがギリシャの都市国家なんかでは貧しい都市に生まれたのと豊かな都市に生まれたのとでは、全く幸せのピンとキリですよね。
 
 いまの日本の状況では、良い都市に生まれた幸せと、良くない都市に生まれた不幸せの差は、それほど出ていませんけれども、これからは都市が豊かであること以外、市民が豊かになるということはない。ですから、私は都市単位の行政がもっと育ってくるべきだろうと思うんです。
 
 そういう意味合いでは、MMさんは実体験をなさったわけですから、政治家としてのこれからのMMさんは、国全体がどうこうということより、N県内に、たとえば、30の都市があるんでしたら30の都市が、一つずつ豊かになっていくのに力を尽くすことだと思います。都市が幸せになるためにきめの細かいことをやる。それが中央行政の政治に参加する政治家の一番大事な一つの技法だろうと思うんです。

MM 良い都市に住みたい欲求が、今日ほど育ってきている時代はないという認識は私も同じです。

 国家が、世界がという論議も非常に盛んですけども、自分の住んでいる、近きは遠きに及ぶといいますか、都市への欲求が非常に高まっていることは事実です。

 だけれども良い都市、悪い都市という極めてあいまいな言葉でいいますけど、具体的に市民はどういう都市が良い都市で、どういう都市が悪い都市であるかというものを持ち合わせていない。

 よく都市づくりの本なんか見ますと、「豊かな都市を目指す」とか、「明日のより良き何々市をつくろう」とか、非常に漠然としてましてね。良い都市というのが概念としてあっても、具体的にどんな都市が良い都市なのか、どんな都市が、これから21世紀に生き残っていく、あるいは活力を持てる都市なのかという都市像が、市民や生活をしている人たちに示されていないというところが、相当あるんじゃないかと思うんです。そういう点はどうですか。

IM 都市についての理論ですね。ギリシャとかローマが都市国家というのを持った長い歴史の中で、良い都市の基準を持ったんだろうと思うんです。ところが日本の国民の生活で都市単位でものを考えるというのは、歴史始まって以来、いまが最初のことだろうと思うんですよ。

 だから、その基準をいま模索してる最中です。そして、かなりの試行錯誤の後、良い都市の条件は10年前よりも今年、20年前よりも今年は、はるかによくなっています。30年前なんて全然比べようがない。1990年代近くなって、良い都市の基準が大変鮮明になってきたと思うんです。

 それまでは美術館があったら良い都市かなとか、公民館があったら良い都市かなとか、緑が多かったら、あるいは学校があったら良い都市かなと、みんなが模索してたと思うんです。ところが昭和が終わるとほとんど同時に、良い都市の基準は市民のかなり明快なコンセンサスになったと思うんです。

 そういう意味合いでは市民と行政と、どっちが進んでいるかといいますと、むしろ市民は漠然とですが鮮明なものを持ってます。行政は漠然とではだめで、それに対して一つ手だてをしなくちゃいけないわけですね。それを鮮明に持っていない。ある面では私は市民のほうが良い都市の漠然としたイメージを鮮明に持っているだろうと思うんです。

 ですから、それを一つに組織化し理論化して、作業のできるシステムにやっていって行政という形になっていかなくちゃいけないだろうと思うんです。

MM 近代文明が非常に進んできたせいかわからんけども、いままでのいい都市というのは機能が優れている。例えば、道路がいいとか、私たちの雪国なら雪に対する対応が進んでいるとか、橋が架かっているとか、生活しやすいとかで、都市に住んでいるという条件を満たしてきたということがあるんですが、最近はもっと文化を楽しむとか、福祉とかの面というように、良い都市に対する住民の願望がかなり変化しているように思うんです。

 だから、機能的なものが終わったのか終わらないのかという論議は別にして、いままではその都市にいたら、質の良い文化を享受できるとかいうようなことは、あまり都市条件としては浮上してなかったのが、いまは相当上位に浮上しているように思うんですね。結局、住民の生活に対するものの考え方が、相当大きく変化してきているんですね。

 逆に言えば、これからの行政とか政治には、住民のライフスタイルが、どのようなものに向けられているかということをいち早く知って、それに具体的に対応していくという努力をすることが、非常に重要になると思うんですね。

IM MMさんは若いころから、そういうものに対して率先してなさる方ですから、世の中がどういう生活をあこがれて暮らし始めているかということに対して、大変敏感ですよね。

 都市の機能とか文化ということで、大変都合のいい言葉がありましてね。都市というときに「アーバン」という言葉と「シティ」という言葉をよく使いますね。「アーバン・ライフ」という言葉と「シティ・ライフ」という言葉がある。

 これはあまり理論的な差がないんだそうですけど、ニュアンスとしてややあるのは、下水道もあります、上水道もあります。美術館があります。電車があります。また、地下鉄がありますというような都市設備のほうのことを「アーバン」というんです。だから、都市設備があって大変便利してますというのは「アーバン・ライフ」を楽しんでいる。

 そういうものがあってパーティーが簡単にできます。友達と外食しようといったら、このようにできます。展覧会もよく観れます。病気になったら、すぐに何かできます。これは「シティ・ライフ」を楽しんでいる。

 行政の首長の中には「アーバン・ライフ発想」の方がいらっしゃるわけですね。今度は美術館をこしらえたから、次は、市民ホールか地下鉄かというように、アーバン・ライフ指向の都市開発をやる。

 これに対して、今度は子どもたちが、いろいろ勉強ができるような博覧会があったり博物館ができる。主婦たちがお稽古事も十分できるような何かをこしらえる。これは「シティ・ライフ発想」の都市計画だろうと思うんです。

 段々アーバン・ライフ発想の都市計画化とシティ・ライフ発想の都市計画化が、色分けされてきまして、お互いに競争し始めたわけですね。自分のところがよいんだと、お互いに誹謗し合ったりしている。お前らは物ばかりこしらえて、生活はどうする。逆にそんな生活のことを言ったって、設備がなければできないんだ。

 これは間違いなんです。ロマンという言葉がありますが、ロマンというのは物と心のバランスだと思うんです。禅宗のお坊さんのような生活を現代の人ができるかというと、できない。物ばかりにあこがれるいやしさもわかってきた。

 ですから、政治家は、物と心のバランス感覚が、どれだけあるかということだと思います。心よりのことばかりしている政治家も市民にとっては頼りないですし、かといって、物寄りのことばかりを一生懸命やる政治家も頼りない。私は政治家に必要なのはこのバランスだろうと思うんです。

 いっとき、「物の豊かさから心の豊かさへ」という言葉があった時代があります。私はこれには反対でした。じゃあ、心だけあればいいのか。やはり物もなければならない。だからこそ、いま、物と心のバランスがとれた「ロマンの時代」だということです。

 そういう意味では、私は、自分自身のロマンをテーマにするマーケティング・プランナーだと思いますし、そんな活動をしてきたつもりです。MMさんと出会って、MMさんも、そんなロマンを政治に生かそうとなさってる方だという共感し、共鳴してから、もう30年近いお付き合いになってるわけです。

地域の産業を見直して新しい都市文化をつくる

IM 都市は暮らしの場ですからね。暮らしというものは、出るものと入るものとのバランス、これは私がいつも言うことですね。パーキンソンという人の第3法則に「金は出るだけ入る」ということがありますが、私のちょっとネクラな友達が、講演会でそれを使おうと思って間違えて、「金は入るだけ出る」と言ったんだそうです。(笑い)都市の経済も入るものと出るもののバランスだろうと思うんです。

 ところが昭和20年代、30年代の都市づくりは、ショッピング・センターをこしらえましょう。公民館をこしらえましょう。道路をこしらえましょう。美術館、博物館をこしらえましょう。これは出るもののほうの都市計画ですね。

 昭和40年代、50年代になってからの都市計画は、今度は入るものをこしらえようということで、一番初めにやったのは企業誘致です。ところが企業がここへ来ても安い土地を見つけて安い賃金をあれするだけで、そんなに期待できないということで、都市の産業を興そうということですね。

 T市長時代のMMさんは、都市の産業を興そうとされた。現在全国各地で進められている一村一品なんかよりも、はるかに前からそういう運動を、実際になさっていた。都市の産業を興して、そこにおしゃれなものを買うショッピング・センターがあって、ご馳走を食べるレストランがある。出るものと入るもののバランスなんですね。

 ですから、首長もそうですし、都市計画をいろいろサポートするスタッフたちも、どっちかなんですね。出るほうのものばかりをあこがれてサポートするスタッフと、入ることばかりをサポートするスタッフですね。だから、入るものはここでして、使うのは遠くの都市に行ってするという都市は、商業も何も繁栄しませんね。

MM 私がいま住んでいるNという市がありますが、国際技術大学を招致したわけです。全国から相当優秀なメンバーが集まってくるんですね。しかもかなり精度と密度の濃い教育が行われているんです。地元の人ももちろん就学してます。

 ところが地元の市民ぐるみでその学校を応援しているにもかかわらず、その大学をせっかく卒業した人が、地元に残らないで、一流企業あるいは中枢企業の技術開発機能のあるところへ全部散っていってしまう。

 そして、地元はいつも人材がほしい、ほしいといっている。こういうことを見ていると、テクノポリス構想とか地方都市の時代とか、産学住一体システムといってますけど、地方都市に将来定着することがあるのかなという疑問を現実には持っているんです。

IM 私は産業、文化、情報の三つのプロセスがあると思うんです。最後の学校という情報機関をこしらえまして、産業から出発していく。

 だから、農業というものがN市を中心にありますが、それを付加価値の高い農業にする。花卉園芸だとか都市型野菜だとかですね。それから、このごろ料理農業という言葉を使っているんですが、牧畜から始まってチーズだとか西洋野菜ですね。そういう農業があります。

 それは、そこの土地、ネーチャーをカルチベートすると、そこのカルチャーになるわけですね。ネーチャーがカルチャーになる。

 だから、NというN県の周辺のネーチャーをカルチベートすると、やっぱり農業だけれども大変付加価値の高い農業になるんです。コメやムギやイモを作っていたものが、野菜を作り牧畜もして料理農業になっていきますと、そこの産業になったころには、もうそこの文化になってるわけですね。文化になったら、その技術をみんなが習いに来ますので、農業学校ができて花卉園芸とか料理の学校ができる。

 ネーチャー、カルチャー、それから情報というプロセスを通らないで、どこかから行政の力でネーチャーとかかわりのない文化施設、学校などを誘致することになると、ただ、土地代が安いので学校が広い敷地を持てて便利だというだけで来る。

 だから、都心まで出るのが大変だということになる。よく学校誘致をやってる所が、S県とかH県とか、たくさんありますけれども、中心からオートバイで学生たちが来る。だから、そこではオートバイがよく売れたというぐらいのことになる。あるいは、せいぜい安い下宿代の、安い定食屋さん、ラーメン屋さんのという形の産業だけしか育たなかったわけですね。

 だから、まずそこに産業が育って、その産業の付加価値が高くなったときに、そこの都市の文化になりますね。その文化にかかわる教育だとか博物館だとか美術館だとか学校だとかができてくるべきだろうと思うんです。

 いまの日本の学校誘致は昔の企業誘致と全く同じですね。そこの風土が、その産業に適しているか、適していないかにかかわらず、敷地があるからというので、呼んできたのとほとんど同じようなことです。

 それは土地に全然なじまない形になってきますね。こういうことを言うと怒られますけれど、学校があるだけの土地なんていうのは、すべて都市に関してマイナス条件です。ところがそこの土地の文化と結び付いているとプラス条件になるんです。ですから、土地の文化とかかわらない限り、学校誘致は全くナンセンスだろうと思いますね。

MM 土地の文化ということは土地の産業が基本だということですね。

IM ええ。

MM だから、これからの都市づくりの基本は、もう一度その土地の産業を見直すことではないか。いってみれば産業の政策が、これからの良い都市政策の一番底流にあるものではないか、という感じを持つんですけどねえ。

IM だから、入るものをまずこしらえて、それを豊かに楽しく使えるところを段々こしらえていく。

 日本の国土で一次産業だけでは、そこに住む全ての住民が食べていけるだけものを生産できませんから、かなり付加価値を高めなければならない。ただ、大根を作ってるだけとかムギを作ってるだけではいけない。だから、産業というのは自ずと文化が備わってこないと……。

 カナダだとかオーストラリアだとかソ連、中国なんかだと、飛行機からムギをまいてトラクターで刈っただけで、そこの市民は食べていけます。

 そういうのは〈付加価値一倍〉の産業と呼んでるわけです。それから、一村一品運動は〈付加価値十倍〉で、せいぜい竹を竹篭に編んだぐらいのものです。これでは食っていけない。だから、かなり芸術性の高い〈付加価値百倍〉のものですね。これを目指さないと……。

 たとえば、MMさんが市長をやっておられたT市の木を切って薪にしてT市印の薪なんていったって、これは具合が悪いので、それを木工か何かにしてT市印の家具とする。木は3年か5年で全部切り尽くしますので、楽器でも作ってT市印の楽器ということですね。

 イタリアのクレモナでは楽器を作っていて、ガデリウス、ストラディバリ、それから、アマーティのご三家がありますね。そこから教えに来てくれるというわけです。そういうことを教えてもらって、T市でやりましたら、バイオリンはちょっと無器用だから作れなくても、ギターぐらい作れるから、T市名産ギターを作る。余程、無器用でもウクレレぐらい作れるから、T市名産ウクレレという産業ができるかもしれないわけですね。そしたら、そこで音楽学校だとか何とか、という形になる。

 そういうことで私は料理だとかですね。栗を作ったり牧畜をしたりという形で、私はやはり料理産業が育ってくればいいのになと提案してたわけです。

 そういうネーチャーをカルチベートする。ただ、単に一村一品にするだけといっても、T市で栗を作っても、村中が食べていけるわけではありません。「それじゃあマロン・グラッセにするか」といって、マロン・グラッセを作ったって、それでもまだまだ全員が食べていけない。一体、次は何にするか。栗の木で家具をこしらえるとかですね。

 ですから、付加価値を高める努力をしていくと、そこに自ずと文化ができてきますので、その文化を世界中から求めてきたときに、国際会議場だとかホテルだとか学校だとか博物館とか美術館ができてくるわけですね。

 私はいま多くの全国の地方自治体のお手伝いをしてるんですけれど、こういう意味で、そのうちの95%ぐらいまでは夢がありませんね。どこに掘割をこしらえたら、あそこの畑に水が行くようになる。今度はラッキョウをたくさん作れるようになるよ、とかですね。
  
 それはそれでいいんですが、その次に何になっていくか。そこに料理文化が育っていくのか。花卉園芸文化が育っていくのか。それによって花の博覧会を常設できるイギリスのチェルシーとオランダとその都市とで3年交代でトレード・フェアをやるような形にまで育てていくのかとかですね。

 5%の首長は大変ロマンがありますが、95%の首長はロマンをお持ちでないんですよね。そういう意味ではMMさんは、ロマンがあり過ぎるぐらいたくさんありますのでね。
                       〈つづく〉








2008/09/14 16:26:40|エッセイ・日々是好日
爽快に秋涼
●爽快に秋涼 2008.09.15(月)

売場演出
売り手は自らの手で商品をつくる

 セルフ売場の演出によって売上げを伸ばす提案も、販促企画会社の売りもののひとつです。クライアントは、販売店ではなく、食品メーカーなどで、売場を活性化演出をして売上げを伸ばし、その企業商品の優先的な販売をはかろうという作戦です。私たちは企画会社や代理店と組んで、企画を提案します。そのためのデータ収集は、主に企画会社のスタッフが行います。売場で来店客の購買行動や陳列棚での商品展示状態をチェックするなど、地味で手間のかかる作業で。これはお店側から拒否させることもあり、クライアント企業を隠したままの調査もあります。
 
 10数年前、売場での来店客の購買行動調査のアイデアを出したのですが、実現には至りませんでした。時機尚早だったのかもしれません。それは来店客の店内での購買行動を把握するために、買物篭に発信器をつけて、店内での行動を記録しようというものでした。お客は、店内をどのような動線で買いまわるのかは、おおまかな流れはわかっています。新商品を陳列した、陳列方法を変えた、シェルフエンドでプロモーションを展開している、などの売場演出に、具体的などう反応するかのデータを集めようとしました。まだ、カーナビが世に出ていなかった頃です。
 
 お客の属性や時間帯、曜日などの相関関係を明らかにすれば、売上げを増やすことができます。個客属性や曜日、時間帯などによって、購買商品の変化を把握して、きめ細かなマーチャンダイジングに反映させたコンビニSEのような作戦です。たぶん、初期投資は多くなるかもしれませんが、当時の技術で可能ではなかったかと思います。その提案は、メーカーにではなく、首都圏でそこそこの伸びをみせていた中堅チェーンに対してのものでした。私はオーナー社長へのプレゼンの席には出ませんでしたが、結果としてはボツとなりました。その気がなったようです。
 
 そのチェーンは、コンビニSEのようにはなれませんでした。いまなお、中堅スーパーの地位に甘んじているようです。私たちの企画は、決して卓越したものとは思いません。しかし、時機を見定めての、新しい企画への挑戦意欲は、このスーパーオーナーには欠けていたようです。売りの出口を広げ、直接の大量仕入れで安く買って安く売る。安く売るためには、とにかく安く仕入れることで、メーカーや仕入れ先に「安さ」を要求する。自らはそのための努力をせずに、仕入れ先に押し付け、優位な立場を利用するだけ。自社ブランドなど考えもしませんでした。
 
 このようなスーパーの体質から、いち早く抜け出したスーパーもあります。そんなスーパーのために、グロサリーなどの大手メーカーは、いろいろな売場演出提案をして、インストア・マーチャン・ダイジングの実践のために共同作業を展開します。ただただ仕入れ先を、叩くだけのバイヤーしかいないスーパーとは差がついてしまいます。大手メーカーは、優秀なスタッフを揃え、最新で実効あるマーケティングを研究して提案します。販促企画会社としては、クライアントとして、意欲あるチェーンを、メーカーを選びます。この状況が続いているようです。
 

●爽快に秋涼 2008.09.14(日)

個客管理
究極の販売促進は個客の管理から

 顧客管理は、究極の販売促進活動とされています。商店では、お客さま、あるいは顧客は、一人ひとりの顔をもった「個客」として管理され、購入商品のメンテナンスやよりきめ細かいコミュニケーションづくりに、また、次の購入商品推測の情報として利用されています。これはどんな業種でも、ごく当然の販売活動の一環として行われています。管理方法は、かつてはソートカードなどが利用されていましたが、いまはパソコンが主流でしょう。このような時代になって、国は個人情報の保護のための法律をつくって、特に、個人データの流出を防ぐようにしています。
 
 氏名、住所、電話番号だけでも個人情報になります。その人が存在しているという最小限のデータでも、個人情報というわけです。このデータを持っていたところから、他に流出すると、個人情報漏洩という犯罪になってしまいます。たとえば何千、何万のリストであっても一瞬のうちにコピーされてしまう時代です。これはITの発展によるものですが、流出して困るのは、基礎データに、その個人ならではの付加情報がある場合でしょう。犯罪や違った店からの販売活動に利用されないための配慮というわけです。漏らさないという約束の下に情報が集められます。
 
 確かに個人情報は、商店などの販売会社にとっては、貴重な経営資源です。個人情報は、集積した人や会社だけの、ある目的の情報としてしか利用してはならないもの。通販会社などでは、商品を次々に買ってくれる個客の情報は、購入履歴情報として積み重ねられます。その都度、データを入力しなくても、自動的に積み重ねられていきます。ある個人が、いつ、価格がいくらの、どんなサイズや色などの、どんな商品を購入したのかが記録されます。かつての商店の店主や外商員が、頭の中に記憶していた顧客情報が、いまはコンピュータの中に記憶されていくのです。
 
 そのデータが増えると、その個人が、次は、いつ頃、どんな商品を買うだろうかが、かなりの確度で予測できるようになります。それに合せて、その個人向けに、最適なタイミングで、商品告知をすれば、ほぼ確実に購入してくれるでしょう。それによって、しっかりした販売計画が立てられ、安定した経営が実現します。どこの誰かも分らない、不特定多数を相手に商売するのではなく、特定多数に、有効なコミュニケーションの下に、その個客が望むものを、代金未回収のリスクなしに販売できるのです。このような体制が、少しずつ出来上がっているようです。
 
 マスメディアを使っての多額なマス広告費が大幅に削減できます。広告は、新しい顧客を獲得するためでもある通販広告でよい。ユニークな商品を、破格の価格設定で売り出す。そして、いろいろなジャンルの商品を投入する。購入者は、新しい個客リストとしてデータ化され、蓄積されて、その内容が充実する。マーケティングの世界が大きく様変わりします。店売りの小売業は、変革を余儀なくされます。大資本の企業ならこれにもついていけるでしょう。しかし、まちの小売店はどのように対処すればいいのか。そんな小売店を支援する私の課題も、増えていきます。


●爽快に秋涼 2008.09.13(土)

都市個性
まちづくりはまちを知ることから

 都市の個性を考えることが、まちづくりの基本になります。いま、まちづくりとは別に「まち育て」という言い方があります。まちを育てようといういうわけですが、そのまちの人がいうなら分りますが、他所者に言われては、余計なお世話だと言う“地モピー”もいるでしょう。そうは言いながらも、大した件数は見ていないのですが、何かと言えば、よそのまちに住む大学の先生やコンサルタントを連れてきては、まちづくりを考えようという傾向が気になります。そのまちのことはよく理解していない、教科書通りのセオリーに従って、ねばならぬ論を展開します。
 
 行政や商工会などは、なにかことを考えようとするとき、講演会やセミナーを開催し、講師をよそのまちから連れてきます。まちをよく知っている先生やコンサルならまだ我慢もできますが、主催者はまちにそんな人材がいないと思っている。まちについての情報は、いちおうのレクチャーを受けるのでしょうが、担当者の一通りの説明だけでは、十分にまちを知ったとはいえません。セミナー慣れ、講演慣れした講師は、飽きさせない話術で拍手や笑いをとります。多分、どこの会場でも同じような内容です。聴衆は終った後に「それで、うちの場合は?」になります。

 バブル経済が華やかし頃、企業はカネ余り対策のひとつとして、飲食業経営にのりだしたことがあります。そのとき、その分野のコンサルタントのお手伝いをしたのですが、エリアキャラクターの分析手法の普及をはかりました。地域の個性に合せた出店や運営をしなければならないという当たり前の戦略ですが、まちづくりにおいても都市個性の見極めがスタートでしょう。まちの個性を明らかにすることで、冷静に、客観的に見つめなければなりません。そのためには、そのまちの現状を知り、歴史を知り、未来を展望する。地理的、自然気候的な配慮もかかせません。
 
 地域の個性により、いくつかのパターンに分けました。コンサルの常套手法ですが、御社計画はこのパターンに当りますから、この戦略を立てて展開しなさい、と指導します。理屈の絵図は彼らの商品です。当らずとも遠からずで、さあ具体的に何をするか、いわゆる戦術のレベルに入ります。ここでコンサルは、これだという決定打を放ちません。できるのは、各地の事例を紹介するだけです。戦術は、当該者に決定させることは、当らなかったとき「あなた方か決めたのだから」という、汚点を回避して、次のクライアント離れを防ぐ組織存続の知恵のわけです。
 
 いまは企業のコンサル離れが進んでいるといわれます。一方、行政とは相変わらずの関係を保っているようです。まちづくりにおいては、コンサルよりも市民力を活用する方がよさそうです。市民が、自身でよく知り、孫子の代にまで大事に残したい「わがまち」の個性、キャラクターをもう一度見極めます。そして、それで何ができるか。何をすることで競合に勝てるか。勝つために、いま足りないものは何か。どのようにしてそれを手当てするか。これらはまさしくビジネスマンが、日々、格闘している仕事のやり方そのものです。理論漬けされて、実業の現実や応用事例を知らない、ハコ入りで頭でっかちの人たちにはない創造ができるはずです。
 

●爽快に秋涼 2008.09.12(金)

多数未決
多数決でビッグな企画は生まれない

 多数決では、ヒット企画は生まれないのではないかと思っています。何人かで、何かを決めなければならない時、往々にして、多数決で決めようということになります。強力なリーダーのいない時に、取り入れられる方法で、民主的で公平な方法であるとされ、多くの納得が得られます。市民が参加しての行政の会議などで、よく取り入れられています。多くの賛成が得られたのだから、文句のつけようがない。その実、悪くはないが、何かバッとしない、面白くない、平均点の内容であることが多いようです。「みんなで決めました」というアリバイづくりだと感じます。
 
 みんながよいと思う、といっても全員がよいと思うならいいのですが、当る、ビッグなよい企画というものは、何故か、全員一致での支持は少ないようです。前例にない、常識はずれだ、大人気ない、私はよくても他の人たちに受け入れてもらえないだろう、などなど、必ずのように、いわゆる訳知りの常識人の反対にあってしまいます。そんな意見が、多数の時、結局、無難な結論に落ちつきます。そして、実施してもほどほどの成果で、失敗するよりもよい、といった評価が下されます。こんなことが積み重なって、全体の業績はだんだん低下していきます。
 
 ほどほどに成果が上がればよいではないか、リスクの大きなギャンブルはしたくない。硬直しかけた、事なかれ主義の組織に多いようです。この競争社会の中で、いまのままでもよいとする組織は少ないでしょう。行政においても、熾烈な都市間競争の下では、納税者に許されるはずがありません。何回か、このまちの市民参加の企画会議に参加してみました。ああ、このまちも市民参加は、ガス抜きのイベントとしか考えていないのかと、少なからず失望しています。もし、最初から、その程度のご意見聴取でよいとしていたのなら、市民にとっても悲しいことです。
 
 70点の能力のある人を50人、100人集めて集約しても、全体として70点にしかならないのではないでしょうか。事業計画や施策計画の企画を決める時に、70点の能力の人を、何人、何十人集めても、結果70点にしかなりません。ここでは100点のビッグな企画は生まれません。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあります。そうでしょうか。三人がどんな知恵をもっているかが問題で、ともすれば文殊様の知恵には届かない場合があるように思います。知恵を借りるのに、三人も集めなくてもよい、文殊様一人だけでよい。そんな知恵者に参加してもらうことです。
 
 私自身を文殊様だと思っているわけではありません。そうありたいと努力はしているのですが、その道のりははるか遠いようです。ただ、数多くの意見の中には、そのままでは埋没してしまいそうなキラリと光る意見や企画を見分ける眼力だけはもちたいと思います。いま、民主主義が最良だとする民意の中で、少数意見は埋没しがちです。数の重さに追いやられてしまいます。その弊害をなくすために、ただひとつの意見でも、それをサポートして、多数を納得させる論陣を張れるサポーターが必要です。そして、それをよしとできる、目利きのリーダーが必要です。


●爽快に秋涼 2008.09.11(木)

お酒礼讃
お酒はいい仕事のためにこそある

 ひとつのプロジェクトが終ったら、関与者全員でお疲れさん飲み会、いわゆる打ち上げ会を行うのが常でした。いろいろな仕事が入ってきました。事務所には新しいジャンルの仕事が多くて、かなり気を入れて立ち向かいます。なんとか仕上げてほっとする反面、少なくない反省点もあります。もう終った仕事なんだから、じたばたしてもしょうがない。しかし、クライアントのお気に召さなかったら、次の仕事はありません。それなりのレベルで仕上げたつもりでも、目的にかなったかどうかの評価を自分たちでは下せない。私たちは、経験からの評価を下すだけです。
 
 その席に酒が必要です。飲みながら反省するのではなく、反省の席で飲むのですから、浮かれて酔ってなどいられません。もちろん、時間が経てば酔いはまわります。最初は、穏やかに始まります。型どおりのお疲れさん乾杯から始まって、それぞれが苦労した点などを出し合います。そして、だんだんと気になった点をさらけだします。場がしらけるときもあります。叱責と言い訳が出て、あわや取っ組み合いの手前までいってしまうことも。この席にはカラオケも、女性もいりません。もっとも、メンバーには女性スタッフもいます。が、男女の別はありません。
 
 クリエイティブな能力を使う仕事に、男女の差はありません。どんな仕事でも、本来、そういうものだと思っているのです。いまさら男女協働参画といわれても、よそ様の仕事に思え、そうか他では問題なんだろうな、くらいに思うわけです。性による差はなく、あるとしたら能力による差だと思っています。能力は、考えて、トライし、努力することによって向上します。そして、酒はその努力を促す触媒ではないかと思っています。酒で身体を壊すのは、量ではなく飲み方でしょう。医者はビール1本までとかいいますが、目安はその時の、己の身体が教えてくれます。
 
 いま、この地で独り仕事をしていると、かつてのような、打ち上げ会がなくなりました。いまの仕事相手が飲めないということもあって、仕事が終って、さあ一杯やるかとはいかないのです。まちのボランティアの仕事でも、その都度の、打ち上げの飲み会はありません。年に一回位、割り勘飲み会はあっても、型どおりのただの宴会です。飲みながらの反省は、不謹慎なのかもしれません。まじめに、真顔で反省してこそ、次への飛躍があるとでも思っていて、それが習慣化しているのでしょう。調子が狂ってしまうわけです。酒の席は、仕事の場ではないようです。
 
 いま、酒は「ドクターほどほどストップ」がかかっている状態ですが、酒大好き人間です。いまもいい仕事に、酒の効用はあると思っています。仕事という交響曲演奏の休止符であり、感動創造の潤滑油でしょう。これは仕事をどのように捉えているかにかかっているのかもしれません。食うための業だと思っているのでは、酒は憂さ晴らしの、酔うためのつらい飲み物になってしまいます。カラオケやエロい女性もいるでしょう。どのような仕事でも、面白くできるし、創造力が発揮できると思っているのです。そのためにも酒はいい相棒だと、仲良くしたいのですが。
 

●爽快に秋涼 2008.09.10(水)

奉仕活動
このまちの福祉ボランティア活動

 ボランティア活動を一般に奉仕活動と呼んでいます。ボランティアとは、広辞苑によれば、行動ではなく人の状態のことで、「志願者、篤志家、奉仕者」、「自ら進んで社会事業などに参加する人」としています。このまちに来て感心したのは、ボランティアの多いことです。もっともそれに気付いたのは、社会福祉協議会の広報編集のお手伝いをしてからで、普通の住民でいたら気付かなかったに違いありません。普通の住民が普通の生活をしていたら、ボランティア活動など、目に止まらないでしょう。地味といえば地味な活動ですが、ある人たちにとって大きな支えになっています。
 
 いま、その広報で「広がれボランティア」というコーナーを担当させてもらい、ボランティアグループの紹介記事を書いています。その記事は、このブログの「福生な人たち」で紹介していますが、それぞれにユニークな活動を展開しています。ほとんどのグループのメンバーは女性で、50代以上の高齢者が中心。心優しく、気持のよい人たちで、いつも取材というより、一時間ばかり談笑の雑談を交わして、後で、私なりにまとめるという書き方です。かなり思い入れの強い文章で、人にとっては鼻につくところもあるでしょうが、気にしないことにしています。
 
 ここで取り上げているグループは、いわゆる福祉活動のボランティアです。その取材や編集会議で、ボランティアとは何かという話題に入ることがあります。議論は、活動の見返りについてが多く、ここでは、無償の奉仕活動であるべきで、お金やそれに代わる代償を求めてはならない、という考え方が主流です。要は、気持であり、思いやりであり、愛の行動であると。いつかは我が身にもかかる状態で「情は人のためならず」である。一方、ある人たちは、NPO活動の一環であり、有償のボランティア活動があってもいいと主張しています。平行線のまま続いています。
 
 中心グループの人たちは、三十年以上もボランティアを続けていて、無償奉仕が当然としています。それだけではなく、活動はすべて手弁当であり、他にもかなりの持ち出しをしています。AMさんなどは、所有マンションの一室を活動場所に無償提供しているほどで、いわゆる篤志家的な存在です。古くからの地元民が多く、前に住んでいたまちの、ローンを抱えたサラリーマン所帯の多い地域ではとても考えられないような人たちです。行政からの補助もありますが、所帯の大きさや活動内容、メンバー数から見れば、まさしく雀の涙のようなものです。
 
 その人たちは、後継者がいない、活動は自分の代限りだと冗談めいて嘆いています。活動を継続させ、新しいリーダーを育てるためにもNPO法人にしてはどうかと、企画書を書いて提案したのですが梨のつぶて。ご随意にどうぞ、の心境です。ボランティアを増やしたいという思いはあるのですが、いまの時代、子育てを終えた主婦やリタイアビジネスマンを、ボランティア活動に取り込むためには、いろいろ難しいものがあります。その私は、ボランティアを「謝恩」だとしています。そして、楽しく、意義ある活動であることを、せっせと文章にして発表しています。


●爽快に秋涼 2008.09.09(火)

売物なし
不安定供給先が商売を危うくする

 商店の衰退は「売物」が減り始めたときから始まるようです。当然のことですが、欲しいものを売ってくれないお店に、お客は寄り付きません。お店としては、それなりの品揃えをしてお客を待つのですが、それらの商品は、もはや商品とは呼べないような死に筋の品物が多く、買いたくなる食指が動きません。お客が離れ、売上が減り、シャッターは閉ざされてしまいます。こんなケースを、各地に幾多となく見てきました。客側からは、助けてあげたくても、できる方法がありません。お客のできることは、買うという行為だけで、仕入れに関わることができません。
 
 近くに一般客でも大歓迎という業務商品を扱うスーパーGS店がオープンしてから、ずっと利用してきました。中国産の冷凍食品を中心とした品揃えで、とにかく安いのがウリで、お客もまあまあの入りでした。業務用をうたっていますから、簡易包装で、量もそこそこ多い。独居老人の私としては、何回もに分けて消費するので、さほど困りません。まあ、同じものを何日食べ続けても苦にならない、食については、全くといいほどにこだわらない私にとって、冷凍庫と電子レンジさえあれば、安く生きていけるわけです。事実、グッド・ライフ・パートナーでした。
 
 このお店のマーチャンダイジングに異変が生じたのは、中国産冷凍餃子がマスコミで大きく報道された頃からです。それまでは、売り場の花だった売れ筋の人気商品があれよあれよと姿を消しました。お店側として、レジ廻りで小さなポスターで、当店の商品は安全ですと訴えます。買う方にしては、そんなことは納得済みのことです。定番化しかけていたスター商品が姿を消すと、売り場というステージが寂しくなります。それ以降、準スター製品も消えていきます。それなりにストアコンセプトにそった売り場づくりをしていますが、だんだん魅力が消えていきます。
 
 定番商品化できない弱味は、同じように中国産雑貨を多く扱う、100円均一ショップにもあるようです。やはり、近くに100均店が華々しくオープンしてからしばらく経ちますが、こちらでもスター定番商品が定まりません。はじめの頃、えっ、これで100円かと、びっくりするような商品が並び、驚いた後に、少し気味が悪くなったものです。そのうちに、目玉商品が売り場から消えていきます。お客から問い合わせがあるのでしょう。お店は商品の変化を、アイテム数の多さで糊塗しようと言い訳ポスターを掲示します。売り場レイアウトも頻繁に変更し続けます。
 
 商店繁盛のポイントは、何を、誰に売るかです。スター商品をつくって定番化してお客を固定化することです。もちろん、販売価格が安いことが大きな要因ですが、少しの差なら、他の要素で何とかカバーできます。ただ、商品供給者が不安定なら、売る商品が定まりません。商品アイテムの減少がお客の減少につながります。そのうちに、ストアコンセプトに反するような売り方になってしまいます。100均ショップを看板に掲げながら、200円商品や500円商品が売り場に並ぶようでは、お店の魅力がなくなります。それでも安さを求めて、通い続ける私なのです。









2008/09/06 16:41:45|プレゼンテーション
クラさんのショールーム
仕事承處

お仕事承ります。

お引き受けはできますが、このところ、あまり気が進まない仕事があります。
わがまま孤老職人の気軽さです。

いま、マイブームで、マイプロモーションを展開しているのが、
「福生聴書傅(ふくがうまれるききがきでん)」。おすすめです。

これは大事なお身内さまに対して、生きざまのあかしとしての、生きた軌跡、魂のDNAを残しておきたい方に、お話しを伺って、内容をまとめ、文章化して、HONにするお手伝いです。伺った内容を、素直に書き上げる「聞き書き」ではなく、読む人に感銘を与えるような構成と筆遣いて書き上げます。文芸作品ではありませんが、四十数年のライター経験を活かして、文章化、パソコンでDTP編集、プリント、製本してお届けします。ご両親や恩師へのプレゼントとしてもお慶びいただける、世界で唯ひとつの企画です。ぜひ、ご利用ください。

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ごあいさつ

 人には歴史があります。連れ合いにも、子や孫らにも、心許した親友にも、それぞれにまだ知せていない、明かしたことのない逸話があります。

 まわりの人たちはあなたが生きてきた断片を知るだけです。それらの話を含めて、あなたが生きてきたすべてがあなたなのです。この世に生まれてから、いまに続く、連続したあなたの歴史です。それはあなたが主役の物語です。それらをそっくりあなたが生きてきた証として、記録として残すことは、あなたの存在証明です。

 さあ、あなたの歴史を残しましょう。あなたの話をあまねく伺って、あなたの真実の物語として構成し、書き綴ります。福が生まれる在所の住人が、心をこめて問いかけ、聴き取り、構築して、福を生む真実の伝記に編纂します。そして、一冊の本として、あるいは一枚のCDにします。あなたの伝記づくりのお手伝いです。

 あなたが生きてきたことを、埋もれさせないために、あなたのお話を詳しくお聴きします。この世でたったひとつの伝記「福生聴書傅・あなた編」として、後世に残すお手伝いをさせていただきます。ぜひ、あなたの伝記をお創りください。

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お申し込みから上梓まで

01. お申し込み
(1日)
 ●電話、メール等でお申し込みください。電話で概要をお聞きします、

02. 打ち合わせ・契約
(1日)
 ●内容やご希望についてお聞きし、編集企画、タイトル等を決めます。
 スケジュールや制作費用を見積り、その了承をいただきます。

03. 取材・聴き取り
(5〜10日)
 ●お話を伺い、関連資料等をお借りします。必要な調査を行います。
 必要により、同行取材をお願いします。

04. 粗原稿おこし
(10〜20日)
 ●聴き取り内容や取材内容を、粗原稿として文章化します。

05. 構 成
(2〜3日)
 ●全体構成案のもとに、粗原稿を配置して全体を調整します。

06. 原稿執筆
(5〜10日)
 ●追加聴き取り等を加え、本原稿を執筆します。

07. 本人校正
(2〜3日)
 ●本原稿をご本人に校正していただきます。

08. 修 整
(2〜3日)
 ●校正結果により、本原稿を修正します。

09. 編 集
(2〜3日)
 ●原稿をデジタル編集(DTP)します。
 表紙デザインを提案します。

10. 版校正
(2〜3日)
 ●ゲラ刷りをご本人に校正していただきます。

11. 印刷・製本
(2〜3日)
 ●修整してプリント、製本を行います。

12. 上梓・お届け
 ●完成本2册をお届けします。
 
 (全28日〜55日)

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制作費用

◎ご希望や内容により個別に見積りさせていただきますが、基本仕様の概予算として、ご年齢×1万円をお考えください。お支払いは、ご契約時1/2、納品時1/2を申し受けます。


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その他お引き受けできること


●商品の実戦的販売促進の企画ツール診断


●セールスマニュアルの企画制作実践指導


●社史編纂・創業者伝記の取材と執筆代行


●ハウスオーガン・PR誌・会社案内企画制作


●小売りマーケティングセミナー等の講師


●カタログ・チラシ・パンフ等の企画制作


●ホームページの企画制作と活用法の診断


お申し込み、お問い合わせは、このブログの「コメント」欄からお願いします。
当方よりご連絡いたします。
よろしくお願いします。

以上








2008/09/05 10:20:03|エッセイ・日々是好日
天空高くて
●天空高くて 2008.09.08(月)

手段志向
作業手順だけのマニュアルの弊害

 新しい職場に配属されると、作業内容が教えられます。内容にもよりますが、簡単な説明の後「マニュアル」を渡され、これで作業を始めてください、となります。慣れるまでは作業速度が遅いのは折り込み済みで、そのことでは咎められません。問題は渡された「マニュアル」が、本来の機能を果たしていないことから、混乱を引き起こしたり、対応や連絡等に無駄な時間が取られてしまうことです。作業内容が、時間の経過とともに変わっているのに、それが反映されていないのは論外ですが、当初から、持つべき機能を持っていないことや、いい足りないことがあるのです。
 
 中には、作業中に考えることを拒否するものがあります。「何も考えずに、言ったことだけやれ」と、作業の方法だけを伝える記述です。確かに、単純作業でその作業の意味などを伝えなくてもよいときもあるでしょう。個々の作業者にもよりますが、ひたすら命じられたままの作業に専念できる人もいます。それでも、当人が読む読まないは別にして、作業の目的や意義、全体事業の中でのその作業の位置付け、トラブルや異変突発時の対処方法など、必要最小限の情報は記述しておくべきでしょう。少しくらい時間をかけても、生産性の向上につながるはずです。
 
 ここで問題にしたいのは、誰を対象とするマニュアルなのかをはっきりと確認しておくことです。特に、リタイヤビジネスマンを対象としたものなら、十分に配慮すべきでしょう。たとえ、リタイア以前の事業や作業のジャンルが違っていても、キャリアフルなスキルを持つ人なら、内容を的確に把握して、状況に応じて応用、再構築できるものです。そして、こんな人たちこそ、その作業のより効率的な改良や改善ができる提案をしてくれるものです。リタイアビジネスマンを起用する大きな意義はここにあり、単純作業が不得手だからと排除すべきではありません。
 
 リタイアビジネスマンのキャリアを活かすマニュアルにするなら、作業はこれこれで、この通りやりなさいと指示するのが中心内容でも、先にあげた、作業の目的や意義などをきちんと記述したいものです。ただ、最も大切なことは、少なくても月一回は、作業者と管理者、マニュアル作成者とのミーティングをもち、マニュアル検討会をもつことです。これは具体的な事例に基づいてのマニュアル検討にとどまらず、本来の目的遂行をより効果的にする作業の改善につながるはずです。リタイアビジネスマンの能力は、まだまだ枯れない泉のようなものです。


●天空高くて 2008.09.07(日)

手引き書
マニュアルが実務専門家の制作に

 この世界に入って最初に手掛けた仕事がマニュアルのコピーを書くことでした。コピーライター養成講座に通っていたとき、講師のMIさんの紹介で、企画会社のSB社を紹介されました。機械設計事務所で、自動機械の設計の仕事をしていたときで、もともとそのために通っていた養成所でしたから、一も二もなくその紹介を受けました。やりかけの仕事を済ませてから、その企画会社にお世話になることにしました。入社までにまだ日のある昼休みに、その会社の営業員に呼び出されました。マニュアルのコピーを書くことを求められました。40数年前の、全く無茶な話です。

 新製品の販売手引き書で、必要な資料は揃えてありました。もちろん何も知らない私に書けるはずもありません。いまでいうセールスマニュアルでしたが、マスコマーシャルのコピーの作法は教わっていても、セールスプロモーションのコピーはどんなものなのかは分りません。惹句コピーなら、出来不出来は別に、なんとかなるとしても、売りの現場への提案書でもあるマニュアルは書けません。二日ばかり頑張りましたが、投げ出しました。もし書けたとした、これほど当事者をないがしろにした話はありません。私の40数年間の仕事の、意義ある出会いでした。

 それ以来、手掛けてきたセールスマニュアルは、私たちの売り物になりました。他の広告代理店などが、手掛けなかったこともあり、当時でも、小さな企画会社ではなかなか取引きのできない国内外の大手メーカーの仕事ができるようになりました。私たちの仕事は、企業にとって重要な部門である営業活動をサポートする活動として、注目されるようになります。だんだん、新人コピーライターの手には負えない仕事になり、クライアントやマーケットの要求に応えられるものに変わっていきます。仕事をするためには、私たちが変わることしかありませんでした。
 
 マニュアルが変わったのは、IT時代の到来で、市場に溢れだしたパソコンが注目を浴びてからでしょう。普通、商品には取り扱い説明書がついてきます。これを「取説」と呼んでいたのですが、「マニュアル」と称するようになります。米国版の取説の翻訳版を、そのまま「マニュアル」として世に出しました。いまでこそ少なくなりましたが、アタマの数ページで、ほうり出してしまうようなしろもので、しかも分厚いそのマニュアルは、理工系の教科書風になりました。パソコンが家電製品とは別物の、若者向けの別種の機械であることを宣言するようなものでした。
 

●天空高くて 2008.09.06(土)

仕事って
高齢者のスキルを活かした活用を

 リタイアしたビジネスマンが地域に帰ってきて、それを事業の新戦力にするという動きは歓迎こそすれ、異を唱えるものではありません。地方自治体では、シルバー人材センターをつくり、登録した老齢者に就業斡旋をしています。行政や民間の仕事をみつけて、会員の高齢者に紹介します。私自身も、会員登録をしてその斡旋で1年間、市役所の業務の手伝いをさせてもらいました。月に10数日勤務し、5〜6万円の収入になりました。それは年金受給者にとってうれしい金額です。ただリタイアした人たちだから、安い報酬でもよしとする考え方が気になります。
 
 仕事の内容は、概ね施設管理とか清掃、草むしりなどの単純作業で、健康な人なら何とかこなせます。私の場合は、一応、パソコンが使えるということが条件でしたが、単純なディスクワークでした。仕事の内容からしたら報酬は妥当だとはいえるかもしれません。高校生のアルバイトなみで、もて余している時間つぶしの、小遣い稼ぎとするなら、それで十分満足する人もいるでしょう。いまさら、責任の重い難しい仕事などごめんだという人もいるでしょう。ただ、高齢者の力を、雑用向きの安価な労働力としか見ていないことに腹立たしさを覚えるのです。
 
 リタイアビジネスマンが長い現業で培ったスキルは、官民を問わず、多くの事業の活性化に大いに役立つはずです。もし、役立てることができないとしたら、スキルが機能している実業の現場を知らないからであり、それを現状の仕事に活かす方法を考えないからだといえます。要するに、就業者のキャリアへの関心がなく、井の中の蛙的な環境をよしとしている成長意欲のない事業体だといえるでしょう。そこにはいまの仕事のやり方、あるいは自分たちの職場のやり方がベストであり、改善する余地も、その必要もないとする覇気のなさ、思い上がりが感じられます。
 
 スキル・インベントリ・システムという手法を、高齢者を雇用する側、あるいはシルバー人材センターでも採用したらどうでしょうか。会員の経歴や技能、本人の希望などの情報をコンピュータで管理し、人事処理を適材適所で行うもので、固定的な組織体制を変えることができるとされています。まず、仕事ありきで、担う仕事を決めてから雇ったとしても、その後でも、それぞれのスキルを確認して、最適な仕事をやってもらう。そして、高齢者を人件費削減の目的で利用するのではなく、その能力に見合った報酬を支払って、組織の活力向上につなげることです。


●天空高くて 2008.09.05(金)

まちの形
福祉バスから見たこのまちの街並

 昨日、社協広報の月一回の編集会議に出ました。この9月20日発行号の校正と次号の編集内容の検討がテーマ。社協側3人と私たち民間の広報委員3人の6人です。寂しいといえばその通りですが、ただアタマ数が揃えばいいってものでもない。前には、出席したものの、一度の発言もないままの人もいました。校正なんか、集まってするものではないでしょうが、ま、それもいい。私が担当しているボランティアグループ紹介記事も、事前にチェックしてあったので問題なし。次号のテーマについての議論があり、一応の結論が出て、その方向で走ることに決まりました。
 
 会議は、福祉センターで行われます。仕事部屋から、足の悪い私の歩きで約30分近くかかります。天気のよい日なら、ウォーキングとして、ちょうど良い距離ですが、この暑さの中では苦役です。そのために、今年からスタートした無料の福祉バスを利用しています。60歳以上の市民などで、あらかじめ申請した人が対象。市内を2コースに分けて一巡します。福祉センターがスタートでフィニッシュ、約一時間の運行です。私の乗り込むバス停は、スタートして10分ほどのところ、復路はいいのですが、往路は50分もかかってしまいます。逆廻りはないのです。
 
 市内をぐるっと廻っていくことになります。新参者の私には、なじみのなかった街並です。狭い道にも廻りこみ、はじめの頃、興奮するほど新鮮な感じでした。いまでは少しは慣れましたが、それでもいろいろな発見があります。このまちってどんなキャラクターを持っているのだろうと観察します。住宅街は、大都市郊外らしいどこでも似通ったたたずまいです。その中で、商店街は、もう相乗効果が機能していないほどの歯抜け状態です。空き地があり、通りに面してマンションが建ち、シャッターを閉ざした商店があります。開いている店にも、元気がありません。
 
 ここにどんな知恵と財を投下してもまとまった商店街としてのパワーアップは難しいように見受けます。商店街としての復興は、再開発以外にもうないのかもしれません。商店街は、住宅街となり、その中の商店は「個のパワーアップ」をはかることが、これから生き残る道でしょう。学者やコンサルタントに頼んでも、一般的な教科書通りの講演と、いくつかの成功事例を語ってお茶を濁されるだけです。そのときはなるほどとうなづいても、自店に戻って、さあ具体的に打つべき手がわからない。まちは変わり、市場は大きく変わってしまっているのです。


●天空高くて 2008.09.04(木)

発言市民
市民3Cを超えた協働の無償提案
 
 犯罪や差別につながらない限り、何を言ってもいい、かえって言論不自由の世の中です。高学歴社会で知識が増え、情報が氾濫するなか、自分なりの意見を述べることは素敵なことです。かつて行政に対して、ものを言う市民に3Cがあると定義付けたことがあります。3Cとは、クレーマ(抗議者)、クリテック(批評家)、コラボレータ(協働者)のことで、どんな立場で発言するかです。さすがに、市民会議などにクレーマは出てきませんが、要望だけのクリテックが最も多く、具体的な行動が伴うコラボレータは少ない。どう増やすのがこれからの課題でしよう。
 
 そんな折、協働推進課が、男女協働参画社会推進のための標語を募集しました。広報編集のお手伝いで親しくしてもらっている担当者に、私でも応募してもいいかと尋ねたらOKだと。一応プロなんですが、それでもいいとおっしゃる。それならと、2〜3本創ってもしょうがない。2〜3日かけて、イロハ48文字をアタマに48本創りました。それも全部同じ文字数にしました。イヤミな性格です。審査に入る前に、全部ではなく数を絞ってくれないかと言ってきました。全部揃っていて、インパクトがあるので、それはできないと、それなら全部取り下げます、と。
 
 応募者数が少なかったらしく、それなら、バラして48本の標語としての応募でもいい、と折れました。だれがどのように審査したのか分りません。で、1点だけ入選3席に取り上げられました。「幸せは家族で進める協働から」がそれ。ちなみに1席は「手をつなぎ 足元しっかり 良い社会」(TSさん)、2席は「社会に参画、くらしを拓く、女と男の共同デザイン」(ANさん)です。お役所の審美眼の程度が露見しました。それを承知で応募したのだから、文句をつけるのはおかど違いというもの。ただ、48本全部に、特別に設定した特別賞が決まりました。
 
 賞品は賞状とそれぞれ2千円の図書カード。商売として受けた仕事なら、このウン倍は請求します。ま、コラボなんだからいいか、と。これで著作権は市側に移りました。ただ、目的は、コラボ意識の徹底にあるとしたらこんなイベントで終ってはいけないと、48本を使ってトランプをつくりました。イロハがるたとして、トランプとしても遊べるようにしたわけです。遊んでもらうことで、共同参画意識を醸成してもらう。ここが狙い、目的のはず。その目論見に加担したのですが、そのための予算はもともとついていない。手段だけでなく、目的を大切にしなきゃね。
 

●天空高くて 2008.09.03(水)

マイ電話
市場経済社会のえせエコ対策に喝

 小学生までが専用の携帯電話を持つ時代になりました。ほんの半世紀前は、一家に1台の電話さえなく、持っているのは金持ち層か、商家の営業用などで、寮やアパートでは管理人室にあるだけでした。電話のあるところに電話をして、呼び出してもらう。個人の名刺などには(呼)と表記していました。いま、通話するだけではなく、メールを交換したり、写真を撮ったり、動画をみたりなど、いままでの電話の機能をはるかに超えて、モバイルパソコンといえるまでに進化しています。メーカーは、次々に新機能を発表し、旧機能品を陳腐化させて廃棄させています。
 
 まち中の電話ボックスが減り、駅の伝言板がなくなりました。電車内でも、時間帯によっては、7人がけ椅子の乗客全員が携帯電話を操作している光景さえ見受けます。テレビや映画では、あって当たり前の小道具で、ドラマはこびも変わってきています。二十代のはじめ、シナリオ修業をしていた頃です。師匠からの課題に「長距離電話」が出ました。ペラ20枚のエチュードづくりで、電話そのものがドラマの素材になった懐かしい時代です。そのときに提出した作品が「秀越」の評価を受たことが、今でも忘れられません。電話を語るときには脳裏をよぎります。
 
 若い人たちは、新しい機能をすぐに使いこなしてしまいます。新しい製品が発売されると飛びつき、いままでの製品は、まだまだ使えるのに捨てられます。おそらく飽きる前に捨ててしまうのではないでしょうか。画期的だとする製品が発売されると、徹夜の行列をもいといません。メーカー各社はとにかく必死です。市場競争に勝つためには、たえず開発を続けていくことが求められます。これが市場社会の現実で、その競争に加わって勝つことが、いまの社会で「豊かそうな生活」を得られる条件なのですから。私は、捨てられた製品の山の映像を直視できません。
 
 「リサイクルできますよ。廃棄製品から、希少金属などが回収できます」と、訳知り顔で喧伝し、それに追従するマスコミ。いつの間にか、捨てることをも「善」と思い込ませてしまいます。リサイクルのために消費する資源は、膨大なものでしょう。捨てなかったら、使わなくてもよかった資源です。このような生活をしながら、一方で、電灯をこまめに消す、食べ物を残さない、ペットボトルを分別して出す、などなど、エコ生活とやらを指南してくれます。携帯電話をもう少し長く使い続ける方が、家族全員が集中した時間に入浴するより効果的かもしれませんよ。


●天空高くて 2008.09.02(火)

意見操作
最後っ屁首相発言に世論の行方は

 「私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」とのたまった。あの会見のテレビ実況を見ていて、「あ〜あ、言ってしまったよ、この小父さん」と、茶々を入れてしまいました。なにせ、一日中、部屋にこもっていると、話し相手は、ラジオかテレビだけです。茶々を入れたり、罵倒したり、共感のエールを送るのが、世間さまとの数少ないコミュニケーションです。バトルトークは、会議などで発言のきっかけをつかむトレーニングにもなります。自説を滔々と述べるご仁を牽制するためにも、せっせと視聴にいそしんでいます。
 
 件の発言には、これからも世のオピニオンリーダーたちが、いろいろと論評するでしょう。興味深く伺うつもりですが、私自身は自分なりの、他に影響されない意見や感想を持ち続けたいと思います。ただ「よく、言うよ」というのが、次の反応ではありました。しかし、見渡してみれば、オピニオンリーダーが多くなりました。どなたかの影響を受けたかどうかは分りませんが、一応、一丁前の感想が返ってきます。局側の恣意で編集されているテレビの街頭インタビューなど、それなりに面白い見方もありますが、見ようによってはおっかない世論操作ですね。
 
 むかし、意見を求められた主婦は「帰って主人と相談してから」と応えることが多かったといいます。どんなことでも、まず、家長である主人に伺いをたてる、そして、少しの迷いも疑いもなく、主人の意向そのままに従う。日本婦人の美徳とされていました。いまの時代、そんな主婦はいなくなりました。人間経験の少ない若い人でも、求められれば臆せずに自論を述べるようになりました。いいことです。特に、インターネットでは、言いたい放題と言ってよいくらい、勝手気侭な意見が飛び交います。その結果、不幸な、悲しい事件につながることも多いようです。
 
 さて、件の発言です。小父さんは質問者の記者のことをよく知っていたんですね。だから、自分のことを客観的に見ることができない「あなた」のようにと、断じたのでしょう。この記者とは、日頃から親しく懇談しているに違いない。いつも主観的な言い方なり考え方をするその記者を、苦々しく思っていた。だから、あの発言です。もしも、記者個人への対応ではなく、記者全員に向かっての発言なら、あるいは、一般国民に向かってのことなら、由々しき不遜な言い方です。でも、主観的に見ていて何がいけないのか。それがマイオピニオンで、国民の意見です。








2008/09/03 5:59:25|プレゼンテーション
マニュアル作法
マニュアルづくりの基礎知識

★「マニュアル」とは、手引き、便覧、案内書、参考書などの意味で、いろいろな種類があります。世間でいわれる「マニュアル」とは「ハウツー的」なものを指し、書かれた通りの決まりきったことしかできない意の「マニュアル的」とか、気がきかず人情味や融通性に欠けた、思慮の浅い人を「マニュアル人間」など呼んで、「マニュアル」を否定的な意味で使われることが多いようです。

★最近では「製品取扱い説明書」をもマニュアルと称するようになっています。電器製品など購入したときに添付されてくる、取扱い方法を教えてくれる説明書のことです。「ご愛用の手引き」、「取扱い説明書」(取説・とりせつと略称)と称されていましたが、パソコン製品などが出まわるようになって一般的に「(ユーザー)マニュアル」とも呼ばれるようになりました。

★パソコンやアプリケーションソフトの分厚い「マニュアル」は、それを見ただけでおぞけを振うという人もあり、取り扱う前の段階で断念してしまうという例もありました。最近では、アプリケーション・プログラムと一緒に、CD-ROMの中に組み込まれる例も多くなっています。また、PL法(製造物責任法)の施行により、この「取り扱い説明書」の多くが見直され、改訂されていますが、安全上のご注意が前面に出て、ますます取りつきにくくなったともいわれています。

★ここで触れる「マニュアルと」は、業務(作業)手順書のことです。どのように業務を遂行したらよいのかを伝えるもので、この「マニュアル」に最低限必要とされるのは、次のような内容です。

◎具体的な実施事項と手順
 〈「何」をするのか〉
 ・業務を完遂するために、必ず実行しなければならない項目・内容

◎ポイント・コツ(カン、呼吸・手際、特殊な知恵)、
 〈「どのように」するのか〉
 ・業務の実施にあたってカギとなるところ
 ・安全、業務をやりやすくするものなど

◎レベル(期待される水準)
 〈どこまで、どの程度まで行うのか〉
 ・ポイントやコツの達成基準、判断基準、標準話法
 ・目標や期待値、数値化・数量化される部分

★マニュアルはその業務を担当する個人のためのものではありません。日頃、その業務を担当していない人が、担当している人と同一レベルで業務遂行できるための情報が記載されていなければなりません。そして、その情報は、最新で、最も適切なものに維持管理された、活きたものでなければなりません。

★これからのマニュアルには、企業や組織などが、何を「是」とするか、経営の基本方針や価値観を明らかにして、具体的に何を(業務)を、どのような水準で遂行するために、どのように行うか(方法)を全活が理解できるように記載することが必要になっています。

★このようなマニュアルは、遂行者がなすべき業務に集中することができ、その結果、人を活かすことができます。
●ムダなく業務を遂行する「効率化」=業務の効果的な遂行手順や勘どころを示す
●イキイキと業務を遂行できる「活性化」=なぜその業務をしなければならないか、背景や意義を伝える
●新しいやり方で業務を見つける「創造性」=結果に生み出される余力や意欲により、業務の新しいやり方などを創造する

★このように業務マニュアルは、企業活動において欠かせないものです。特に、営業活動、販売促進(SP)の展開にはなくてはなりません。その代表的なものであるセールスマニュアルについて考えてみましょう。

★新商品の発売などにより、メーカーから販売店に提供されるマニュアルに、総合的なセールスマニュアルがあります。このセールスマニュアルの構成で最も一般的なのが次のようなものです。
 ◎はじめにメーカーの営業責任者などの<ごあいさつ>があり、
 ◎商品の概要を伝え、ここでその開発意図などが述べられ、
 ◎商品をとりまく市場環境や消費者動向が解説され、
  だから売れると強調されます。
 ◎次に、商品についての紹介があり、特徴などが記載され、
 ◎ターゲットがどんな層なのかを伝えます。
 ◎次がSP戦略・戦術についての紹介です。
 ◎販促のために用意したディスプレイラックやカタログ、
  チラシ、DM、POP、プレミアム、ノベルティなどを伝え、
 ◎広告内容やスケジュールが紹介されます。
 ◎さらに、商品をどのように展示し、どのような方法で販売していくのかを伝え、場合によっては、販売時点でのセールストーク例なども紹介されます。
 ◎その他、技術ガイドやPRを加えたりします。

★流通向けのセールスマニュアルは、基本的に、商品を消費者に売ってくれる人たちを対象とした一種のカタログであるというとらえ方が必要だと思います。一般の消費者向けのカタログは、あくまでも最終的にその商品を買って欲しい人への働きかけが目的であり、セールスマニュアルというお店向けのカタログは、その商品で
営利事業をはかろうとする立場の人たちへの働きかけが目的になります。

★消費者を対象に、商品の魅力やそれを使っての新しいすてきな生活を提案して、訴えるのがカタログであるなら、このセールスマニュアルは、その商品を扱うことによって、すてきな状態になれることを実感として理解して、納得してもらうことです。

★ここでいう特約代理店や販売店の<すてきな状態>とは、いうまでもなく販売することによって<経済的な利益が得られる>ことです。ただこの一点のみです。

★重要になるのは、お店の人たちがその商品を買ってくれる、仕入れをしてもらうことで完結するのではないということです。たいていの場合は当り前のことですが、継続的な取引き関係を続けようとするならば、いわゆる<押しこみ>をはかるだけのセールスマニュアルであってはならないものでしょう。

★いまの時代< 押しこみ> をはかろうとしても土台無理なことです。販売の第一線にいる人たちは、その商品が売れるかどうかを、長い経験を通して直感的に判断できるものです。その判断は「自分の店の商圏とお客さまに受け入れられるか」という前程に立ってのことです。

★このように見てみると、セールスマニュアルは、本来、個店対応のものでなければならないものでしょう。販売店の立地条件が違い、規模や顧客層が異り、従業員の資質も違っているものであり、これを一律に同じ方法でというのは無理があります。

★とすると、マニュアルづくりは不可能になってしまうか、または、最大公約数的な内容で割り切ったものになりかねません。現在のところ、最大公約数的な内容のものにならざるを得ないような気がします。

★ただ、気になるのが内容がメーカーの論理だけで語られていることです。たとえば、その商品の市場規模を伝えて、全国ではこれだけの需要が見込めるし、これを販売店の数から割り出すと、1店あたりこの位の販売数が見込めるはずだという理論です。この数字は、市場全体をマクロでとらえるメーカーにとって意味のある数字であっても、個々の販売店にとってはあまり関心のある数字ではないはずです。

★要は、個々の販売店にとって「うちではどの位売れるのか」であり、また、「どんなことをすれば売れるのか」が重要なことであり、メーカー側から勝手に「この位は売れるはずだ」といわれてもイライラするだけでしょう。

★特に<売る>ことが格段にむずかしくなっているいま、いくらいくら売れるはずで、売れないのは販売店に原因があると暗にいわれてしまってはシラけてしまいます。メーカー側の論理での希望値を提示されても困ってしまうでしょう。

★販売店はあくまでもそこの企業の論理で独自の販売活動を続けている営利企業であり、メーカーのショールームではないのです。販売方法についても、たとえば、この商品は訪問販売が最適ですと伝えたとしても、販売店としては困ってしまいます。販売店に訪問販売をしてほしいのだったら、それなりのしくみやマテリアルが必要であり、対象店も選ぶ必要があります。

★本来、販売店のためのセールス・マニュアルを、商品のメーカーがつくるのはおこがましいことなのかもしれません。特に、最近ではよけいそう思います。もし、メーカーがつくるとしたら、販売店の現状をよく把握したうえでつくることでしょう。

★何よりも大切なことは、販売店の立場をよく理解して、その商品がどのように位置づけられているのかを知り、十分な納得が得られるような指導をすることではないでしょうか。ただ、自分の商品を売ってもらいたいために、メーカー・エゴをごり押しするようでは受け入れてもらえないのは当然です。

★セールスマニュアルとは、要するに販売方法の指導書です。効果的な「売り手」をつくる手引書であり、対象が販売店なら、そこの店長さんや店員さんに、商品の効果的な販売方法を伝えます。販売活動をセールスマニュアル通りに実践してもらうことによって、その商品を効率よく販売し、そのお店の売上げ向上に寄与してもらうことが目的です。

★このセールスマニュアルの位置づけは、協働のマーケティング推進者としての、販売員に意欲と技術向上、動機づけをするコミュニケーション・メディアであるということです。このメディア価値が極めて高いセールスマニュアルによって、販売員の販売貢献度が高くなることが期待できます。媒体費用が比較的安価であることも大きな特徴です。

★セールスマニュアルを企画制作するにあたって重要なことは、
 ◎目的をはっきりさせる
 ◎現場の実態に合わせる
 ◎興味を呼ぶ工夫をする
 ◎わかりやすく表現する
 ◎適切な媒体を選択する
ことでしょう。

★制作の最初のステップは調査活動です。販売第一線内容や自社現況はどうか、競合状況はどうかなど、商品や販売環境を、くわしく調査分析し、問題点と課題を抽出します。

★対象商品の調査確認事項は、次の通りです。
 ◎市場背景や普及率
 ◎消費動向と将来予測
 ◎商流・物流機構
 ◎競合・占拠率状況
 ◎関連商品の動向
 ◎その他

★また、販売活動の調査確認事項としては、次の通りです。
 ◎販売方法・業態
 ◎広告宣伝・PR
 ◎自社営業の意思
 ◎流通段階の意識
 ◎販売成功の実例
 ◎その他

★調査方法や確認の方法には、次のようなものがあります。
 ◎直接面談による取材調査
 ◎電話による取材
 ◎アンケート調査
 ◎グループ・インタビュー調査
 ◎オープンデータ
 ◎その他

★次に、セールスマニュアルを企画します。総論として、目的を確認、しくみを再構築して、最も効率のよい伝達方法を設計します。

★目的の確認では、誰から誰に、何の目的で、コミュニケーションをはかるのかを明確にします。
 ◎発信者は…メーカー、ホールセラー、リティラー、他
 ◎What・何をどんな"使用価値"をもった商品、サービスか
 ◎Who・誰に自社社員、系列会社社員、他企業・販売店社員か
 ◎Why・なぜ販売目標の達成、態度・意識の変容、知識技術伝達
 ◎Where・どこで伝える場所、職場、自宅、通勤途上、その他
 ◎When・いつどんな状況下、どんな精神状態にあるときか
 ◎How to 方法は 
 ◎How match 予算は 
 ◎Tool&Skill 用具とSkillは

★そして、活動内容を再構築してみます。現在の販売方法のタイプを確認して、現状を分析し、必要に応じて新しいしくみをつくります。
 ◎セルフサービス型  たとえば、食品、日用生活品
 ◎対面(アドバイス)型 たとえば、家電品、ガソリン
 ◎訪問型       たとえば、OA製品、乗用車
 ◎コンサルティング型 たとえば、保険、旅行、宴会
 ◎カウンセリング型  たとえば、眼鏡、薬品、住宅
 ◎使用機会促進型   たとえば、ガス、電気、電話
 ◎ご用きき配達型   たとえば、酒類、食品、灯油

★新しい売り方のしくみづくりのために、必要とする最適なツールとスキルの設計を行います。

◎SKILL
ISM/ISP/フロアレイアウト/スキマテック/フェーシング/ディスプレィ/インセンティブ/アプローチ・トーク/セールストーク/標準Q&A/セールス・パフォーマンス 他

◎TOOL
POP/カタログ/チラシ/プレミアム/ノベルティ/ダイレクトメール/ディスプレィ用具/什器備品/包装紙/キャリーバッグ/アプローチ・ブック/AVC機器+ソフト 他

★次に、表現方法について検討します。対象者に、狙い通りに理解してもらい、その気になって働いてもらうための工夫をこらします。目的・現況から最も費用効率の高い媒体選びや理解させる工夫としての表現方法の検討を行います。

◎伝達方法の検討
印刷/デジタルパック/インターネット/イントラネット/AVパック/Fファクシミリ/フィールドマン/電話/その他

◎表現方法の検討
標準文/ゲーム化/ドラマ化/チェックリスト/Q&A/セールストーク/箇条書き/チャート/その他

◎ビジュアルエイド
イラスト・マンガ/写真/CG/グラフ/図面/パース/動画・映画/ その他

★企画した内容を、実際に制作する前にくわしく検討評価して十分に確めます。
〈質〉伝達方法は効果的か=表現方法の再検討
〈量〉内容に過不足はないか=全体構成の再検討
    ↓
〈狙いの実現期待値〉
 ◎企画、再構成したしくみが適切かどうか
 ◎発信者の狙い通りの内容になっているか
 ◎メディアミックスの中での位置づけから
 ◎現場を想起したイメージの中での実現性
 ◎対象者が期待通りに理解し行動できるか

★そして、いよいよ制作です。ここでは対象者に合わせて確実に理解してもらえるコミュニケーションを目指します。

★対象者に合わせるために、次の確認を行います。
 ◎理解度のレベル
 ◎習慣度のレベル
 ◎意欲度のレベル
 ◎積極度のレベル
 ◎持続度のレベル

★また、理解しやすくするために
 ◎目的と手段を明確に伝える
 ◎文章はわかりやすく簡潔に
 ◎不安や不満を感じさせない
 ◎展開の筋道をわかりやすく
 ◎不要な情報だけをもらさず

★制作スタッフの組織として、異分野の感性や理性を導入活用しながら経験あるクリエイターが制作します。
 SPプランナー/マニュアル・ディレクター/調査会社
 SPライター/コピーライター/テクニカルライター
 SPデザイナー/イセストレーター/フォトグラファー
 SPプロデューサー/印刷・製作会社/AVCソフト制作会社

★メディアへのおとしこむ製作のステップです。費用対効果を上げるためにも、製作会社と緊密な連携により企画から完成品の納入まで一貫して行うことも有効です。目的にかなうスケジュールであることが必要であり、最新の制作環境下で迅速に仕上げます。企画制作費は、内容によりその都度契約時に明確にしておきます。

★販売店や特約代理店向けの新商品のセールスマニュアルでは、販売戦略を、よく理解してもらわないと市場への導入が難かしいものになります。この商品は<いままでと、どんな点が違うのか>、いま<なぜこの商品なのか>、だから<どんな人を対象にするのか>、そして、<いつ、どのようにおすすめすればよいのか>を伝えることが基本になります。

★このような基本的な展開の中で、メーカーとしてどのような支援策を実施するのかを伝え、納得してもらうようにします。マニュアル全体の表現として、インパクトの強い<デビュー感>を出すことも必要です。

★この構成をドラマチックにするのも効果的です。ドラマツルギーにのっとった構成にすることです。流れに従って、起・承・転・結でまとめます。

★<起>では、ひとつの問題を提示するところです。ここで新しい商品としてのデビューをインパクト強く説明します。主役である商品の華々しい登場です。ここで商品がどんなものであり、いままでと、どんな点が違うのかをはっきりさせることです。

★販売にたずさわる人たちにとって、いま、販売している商品についての知識があります。この知識をもとにして、新しい商品についての理解をするものであり、ここではいわずもがなの知識を伝えることは不要でしょう。

★ < 承> は、< 起> を受けついで、発展させるところです。なぜ、この商品を開発したのかについて説明します。ここでは、単に、理性に訴えるだけではなく、感性に訴えることも欠かせません。

★ここにデータが必要だと判断したら、それもよいでしょう。ただ、そのデータは、メーカーの関心領域で選択したものではなく、対象者の関心領域で選択したものですることを忘れてはなりません。

★ < 転> は、全体の流れに新たな波紋をつくるところで、興味を先につないでいきます。この商品はこんな対象者に売れるという項目ですが、むしろ、「ここに、こんな人がいます。この人は、先に見た商品のターゲットとして、最適だと思いませんか」といった、ギミックを加えた展開も効果的です。

★<結>は、一挙に期待レベルにもちこむところです。「だから、このように売ろう」という内容を伝えます。いままでの商品と違った売り方があるなら、いままでの売り方を全面的に否定するのではなく、いままでの売り方のこんなところを変えれば、このような成果があがるという説得のしかたです。具体的なセールストークを伝えるのもよいでしょう。
                    了