昔の溶接科は今思うとやたら基本を重視して、今はボンベに入っているアセチレンガスもカーバイドから摂りだす行程から習う、実習もハツリと云って2cm位の厚みの鉄板をタガネで削る左手で押えたノミに思い切りハンマーを当て少しずつ削って行く、怖がっていると削れない素人だから親指の付け根や爪を叩きたちまち紫色に血がにじむ、ガス切断器など筆を挟んだ菜箸を両手で持って半紙の上に一定の細さで引ける様になって初めて実戦に臨める。やがて気心が知れた頃、同級生の中年の男が俺に声を掛けて来た。「ね〜あんた中卒の子供に人気があるから、この子達を使って仕事を始めない?どうせここ出たら将来は鉄工所やりたいんだろ・・」「何、言ってんですか!まだ、まっちょうに仕事が出来る訳で無いし、ましてや作業場さえないじゃないですか!」、この中年の男は実家の金物屋を両親から任せて貰えず妹に婿を貰って婿に店を任せられてしまったドラ息子だった。「仮に仕事が有ったとして、何処で叩きます」って云ってみた。「それよ〜その事なら任せとけ俺が教官に呑ませてここでやらせて貰う!ダメとは云わせね〜」もうビックリこの人何考えてるんだ?呆れて相手にしなかった。そんなこと忘れていた夏の或る日のこと校庭に中型トラックが入って来ていきなり荷台の横を切り鉄骨材料を落としはじめた。たちまちすごい剣幕で所長が教室に飛んできた「誰だ〜こんな事をしたのは」・・・ ・・さ〜あなたならどうする・・ |