孤老の仕事部屋

家族と離れ、東京の森林と都会の交差点、福が生まれるまちの仕事部屋からの発信です。コミュニケーションのためのコピーを思いつくまま、あるいは、いままでの仕事をご紹介しましょう。
 
2008/08/18 14:24:11|福生な人たち
08 福生明るい社会づくり推進会
●レポート08

「ボランティアの心」で福祉や青少年の健全育成に尽力

福生明るい社会づくり推進会〈福生明社〉

 遠くに富士山を望み、近くに多摩川と福生の街なみを見守る福生公園(牛浜16-3・市民会館隣)の高台に、福生忠霊塔が建っています。前の大戦から郷土福生に帰ることができなかった三百有余の魂を鎮め祀るこの塔は、世界恒久平和と人びとの幸福を祈念する福生市民の誓いの施設です。

 ある日、この場所で少年たちのいじめの現場を目撃したという、福生明るい社会づくり推進会(略称・福生明社、会員106名)の会長・柴藤薔恵子さん。警視庁委嘱少年補導員でもある柴藤さんは、単独での補導は止められていることから、暫くして、心を残しながらもその場を離れました。

 翌朝早くその場に出向いてみると、辺り一面に空き缶、血の付いたトイレットペーパーなどのゴミが散乱している。予想はしていたものの、心を洗い潔め、安寧を誓う場の荒廃は、少年たちだけではなく、多くの市民の心を荒ませるものではないか。

 心痛む事件が多いこんな時代にこそ、信頼しあい、明るい社会をつくる心の拠りどころとしたい。再び、この地を心落ち着く、清い場所にしたい。そんな思いから、福生明社の忠霊塔周辺の清掃奉仕活動が始まりました。月1回、第2日曜日早朝7時からの清掃奉仕が続いています。

 昭和29年に建立、終戦から60余年、8月には慰霊供養が行われるこの忠霊塔は、痛みが目立ち、汚れも多くなっています。清掃だけではおぼつかないことから、専門業者に石磨きを含めた補修費用の見積りをしてもらったところ、30万円ほど掛かると。、

なくてはならない存在の縁の下の力持ち

 「良いことは真心こめてこつこつと」「させていただく」のが、会発足理念の二本柱とか。「奉仕する」のではなく「奉仕させていただく」福生明社の基本的な姿勢です。事務局長の河野一博さんは「私たちの会は、明るい社会をつくるために、心ある人たちの善意を集め、力を寄せあって、福祉奉仕活動や青少年の健全育成を支援させていただき、皆さんと一緒に実践することを大事にしています」

 そのために、福祉まつりの時の自転車置き場の整理など、行政や社協のいろいろな行事の時に、縁の下の力持ち的な仕事を喜んで引き受けていると。

 福生明社の奉仕活動は、多彩です。毎月の忠霊塔周辺清掃や老人ホーム奉仕の他に、身障者作業所バザー協力・老人ホーム納涼祭協力・福生七夕まつり竹飾り参加と会場清掃・忠霊塔慰霊供養・福祉まつり協力・高齢者スポーツ大会協力・福生学園祭協力・老人ホーム文化祭協力・福祉バザー協力・歳末助け合い街頭募金などなど、福生市や社協の主な行事には、なくてはならない存在です。

 会員は女性がやや多く、50代〜60代中心です。河野さんは「思いを同じにする方なら、どなたでも入会できますし、ご自分にあった活動だけに参加していただけます。連絡費などに使う年会費千円を納めていただくだけで、他に特別な規制はありません」と話されます。NPO明るい社会づくり運動(石原慎太郎会長)や全国各地で「よそをかき分けてまで、目立つことを好まない」人たちが多いという、あまり目立たない会ですが、確実に明るい社会をつくっています。

07年(平成19年)11月20日発行号







2008/08/18 14:21:30|福生な人たち
07 ゆうあいふっさ 火曜クラス
●レポート07

外国の人に美しい日本語を教えてあげたい
生活に密着した日本語学習を支援

ゆうあいふっさ 火曜クラス

 東京の市部で、外国人登録者の割合が3.85%と最も高い国際都市福生市。「ゆうあいふっさ」(火曜クラス・秋山浩子代表。会員 名)は、外国人と共に生き、地域福祉を共に創っていくために、外国人の抱えている生活課題に密着した日本語学習を支援しているボランティアグループです。国際結婚をしている人や日本に居住している人との交流、相談などを通じて、生活の中でふれあっていくことを目的にしています。

 代表の秋山さんは、この活動を始めて17年、活動内容を伺いました。
「発足当初は、在住外国人に、生活に必要な日本語学習の支援を行いながら、文化交流などを行ってきました。最近、中国や韓国の人も増えて、生活日本語だけでなく、日本語検定試験対策や大学院進学対策の支援まで求められるようになっています。その一方で、職場で適切なコミュニケーションがとれない人への支援など、幅広い活動になっています。

 《ゆうあいふっさ》は、毎週火曜日の午前 時からお昼までの火曜クラスと毎週金曜日、午後7時から9時までの金曜クラスとがあります。火曜クラスは、女性と子どもが多く、日本語の基礎から上級まで、日本語を学習したい人は誰でも受け入れています。できる限り学習日者の希望に沿えるようにこころがけています。金曜クラスは仕事帰りの男性も多く、日本語を学習するだけでなく、情報交換や交流の場にもなっているようです」

 会費は月300円ですが、活動場所は福生市公民館、多少の持ち出しはあるものの、それほど費用は掛らないとか。日本語教室といっても、日本語が話せる小学校の児童に教えるのとはわけが違います。かつてテキストに、小学校の国語の教科書を使ったことがありますが、まるで使えなかったとか。今は初めて日本語に接する人のための市販テキストがあり、その中から、学習者に適した部分を選び、その部分をコピーして活用しています。個々人の事情に合わせた個別指導です。

 ビジネスとしての日本語教室ではなく、生活経験の豊かな主婦の視線で、優しく指導しています。他のボランティアのお仲間は年齢も同じくらいとか。
「ただ、自分が習っている英語を試したいという人や自分の勉強のためという人は、長続きしませんよと、お断りしています。責任を持ってできることが、このボランティアの第一の条件です」

頼られているという善書びと義務感

 教室の共通語は英語ですが、流暢に話せなくても、片言の英語でも十分通じるとか。それよりも、正しい日本語を使えることが重要です。
「生徒さんが、教室で習っている日本語と、職場で若い人が使っている言葉と違うって。そんな若い人の言葉を教えてと言われるんです。でも、それが日本語だと思われると心外なんです。私はそういう言葉を使いたくない。私には教えられないとはっきりと言います。できるかぎり美しい日本語、きちんとした日本語を教えてあげたいんです」 と秋山さん。

 言葉だけでなく、日常生活に必要なことにも精通することが求められます。母国での資格が通用しなく、単純労働が余儀なくされるような生活で、空しさや生活実感がないと訴えてくる人もいます。日本での仕事の習慣が分らずに、そのための行動が問題になったり、医療や教育、子育てや法律のこともあります。知識がないために、強制送還されそうになるなど、思ってもいないことが起ると。そんないろいろな相談に乗り、聞いてあげること。すっかり頼られて、教室以外での支援も少なくありません。

 「いままでに、教室に行きたくないと思ったことは一度もありません。始めた頃は、こんなに長く続けられるとは思いませんでした。自分が心からできることを見つけられたことが、とても幸せです。小さな活動ですが、地に足のついた活動は、なくしてはいけないと思っています。仲間の皆さんも同じ思いだと思います。

 対等の立場で、個の人間として付き合えること。《ひとりひとりのあなた》に出会えてよかったと。いま、優しさだけではどうにもならないことが多いのですが、いろいろな国の人たちから、日本人てほんとに優しいね、親切だね、ここに来てよかった、と思ってもらえればうれしい。お互いを信じる信頼感、それがたくさん広まればいいなと思います。お国に帰って、感謝の手紙をくれる人もいるんですよ」と秋山さんが微笑んで語ります。

 会の名前通りの《友愛》という思いが、これからも美しい花を咲かせ、大きな実を結ぶことでしょう。
 
07年(平成19年)09月20日発行号







2008/08/18 14:18:13|福生な人たち
06 手話サークルもみじ
●レポート06 

心のバリアフリーを目指して
手話サークルもみじ

 今年20周年を迎えた手話サークルもみじ(会員37名、西本容子会長)では、20周年記念行事「福生市手話サークルもみじ創立20周年を祝う会」を、6月23日(土)、公民館小ホールで開催しました。

 20年を振り返り、今までのたくさんの支援に感謝して、今後のさらなる飛躍を期したプログラムで、記念講演「手話サークルが目指すものとは?」・手話コーラス・手話体験クイズ・ゲーム大会などの楽しい意義ある集いでした。

 会長の西本さんと事務局の丸山賀陽子さんに、活動内容などを伺いました。『もみじ』は手話の学習や福祉の学習を通じて、聴覚障がい者と共に学び、歩んでいくことを目的に、毎週木曜日午前、福祉センターで活動しています。

 また、2カ月に1回、福生市聴覚障がい者協会・福手の会・手話通訳者の会との四者連絡会で情報交換を行っている他、日頃から緊密な連携で関連情柵報の共有を行っています。

 一般向けに手話講習会(福生市社協主催)を、福生市聴覚障がい者協会と福手の会とともに運営を委託されています。初めて手話を学ぶ人向けに入門コース・ちっと学んだことがある人には基礎コースを、5月から翌年の2月までの10カ月間、聞こえない人とある程度、会話やコミュニケーションができることを目標に実施しています。

 この5月に125号になったB5判 数ページの月刊会報「もみじ通信」は充実しています。様々な『もみじ』の活動内容を知ってもらう情報誌で、毎号100数部発行。少しずつ内容の充実をはかっていきたいということです。サークル員にだけではなく、手話講習会の受講生やいろいろなボランティア活動をしている人たちにも読んでもらいたいと、広柵報部を中心に、相談しながら編集しています。また、 周年記念の記念誌 (手をつないで20年!)も発行しました。

アイラブユーをシンボルマークに

 手話サークルもみじの愛らしいマーク。もみじのMの中の左手は、「アイラブユー」を伝える、世界中に通じる世界手話だということです。

 多くの人たちに優しさ、愛を伝える心を大切にしたいと西本さんは「聞こえない人が同じ空間の中にいるということはどういうことなのか気付くことがあります。声をかけても通じない、手助けしようと思ってもどのようにしたらよいのか分からない。でも、手話ができないからと、聞こえない人との会話ができないものではありません。筆談・空書き・口の動き・身ぶりなど、いろいろなコミュニケーションがとれます」

 一度でも聞こえない人との接し方を知っていれば、手助けはできます。そんな体験や知識を『もみじ』で身につけてほしいと話します。そのために、手話講習会などでの学習機会を逃がした人でも、気軽に入ってほしいと。聞こえない人への理解を深め、広めていきたい。手話とはどんなものなのかを知り、他にも、どうやったら意思を伝えあえるのか。「手話の勉強をするときも、たとえば、指一本で表現できるものって何だろう、二本なら、パーなら…何が伝えられるとか工夫したり。どのように表現したら聞こえない人に伝わるか、というコミュニケーションの方法を考えています」

「『もみじ』では、できる時に、できることを、できる人がやる。手話ができるできないではなく、その人が持っているものに存在価値があります。手話がベテランの域に達している人でも、経験していないことは分かりません。それを経験した人に聞くことで、見聞が広がることがあります。自分の役割が、ここで持てて、それを発揮できます。私たちは、手話だけではなく、いろいろな表現で心のバリアフリーを目指しています」

 西本さんたちの思いは、全ての障がい者とのコミュニケーションに関わっていきたいという思いに広がります。そのために、ひとつの団体ではなく、いろいろな方法で障がい者のコミュニケーションを支える団体と連携すれば、できることは限りなくありそうだと。いろいろな団体、サークルとの連携を探し、社協への期待も広がります。いろいろな活動をしている人たちとの交流をさらに広げていきたい。いろいろなサークルとの垣根を超えて協力しあって、障がい者のためだけではなく、地域の人全体の福祉のために、と。 年目に踏み出した『もみじ』の西本さんたちは、これからの抱負を語ってくれました。

07年(平成19年)07月20日発行号









2008/08/18 14:15:16|福生な人たち
05 ボラ協研修会
●レポート05

「おかげさまで、ありがとう」の心確認
ボラ協研修会

感動をボランティアの原動力に!

 福生ボランティア連絡協議会(秋山美左江会長)では、今年度の役員研修会として、3月17日、長野県菅平での「さとうともに先生のお話しとオカリナを聴く会」に参加しました。

 この研修会は、いままで、近隣の福祉施設の現場を訪ねて、ありのままの福祉の現状を肌で感じたり、新潟中越地震の被災生活支援を通して、災害時の効果的なボランティア活動の方法を学んだりしてきました。今回は、ボランティアとしてのこころの原点、「思いやりの心」を再確認しようと企画したものです。

 信州の書家詩人・オカリナ演奏者として、全国的に知られる 「ことば石作家」さとうともに(佐藤友二)さんは、幼くして両親を亡くし、苦難と苦悩の生活を送っていました。

 ある日、河原の小石がしっかりと草の根を押さえていることを見て、社会のしくみの部分にすぎないと思っていたちっぼけな自分が、多くの人々の助けを受けながらも、社会に役立っていることに気づきました。

 「この世に必要な存在だから、自分もここに居る」というのが石から届いたメッセージ。その時の心境が「おかげさまで、ありがとう」だったとか。

 以来、社会に生かされてもらっていることへの感謝の恩返しとして、奉仕のこころの大切さを、こころに訴える啓発活動を実感し、「本気に泣けて・本気に愛せて」をばるす出版社より上梓。「どうせ生きるなら楽しい方がいい。詩もことばもオカリナも、私にとって楽しい人生そのものである」と著書に書くさとうともにさんです。そして、感動のボランティア活動を啓発するこころのありかたを、親しみやすいトークと、素朴な音色のオカリナ演奏などのサロン・コンサートを行っています。普段着のことばと絵を、小石などに揮毫して、たくさんの感動と共感を集めています。

当日、参加したボラ協メンバーの感想です。

▼「私達がボランティア活動でいつも大切に思っているやさしい心、思いやり、本気でものごとに向き合うことが、言葉・書・絵・音楽になってあふれていました。新たなエネルギーを与えていただき、これからも仲間と共に福生のボランティアがいきいき輝いて活動できることを信じています」 (AHさん)

▼「何かわからない熱いものが胸の奥から押し上げられて来て、声になりませんでした。このような感動を、私達のボランティア活動にも活かせるように、まず、私から、実践していこうと心に決めました」 (HMさん)

 この貴重な体験を、多くのメンバーのボランティア仲間たちの心にも伝播させていきたいということです。

07年(平成19年)05月20日発行号








2008/08/18 14:11:00|福生な人たち
04 点字サークルほたる
●レポート04

指で読む活字文化を守り育てて
点字サークルほたる

点訳や体験講座の福祉ボランティアを実践

 視覚障がい者の情報伝達媒体に点字があります。点字とは指先を使って読む触読文字のことで、タテ3点、ヨコ2点の合計6つの凸点の組み合わせで文字を表します。この点字にする作業が「点訳」です。

 日本で点字が使われてから100年経ちますが、長い間、点字は点字盤と点筆を使って手で打つだけでした。やがて点字タイプライターができ、最近では、パソコンの点訳ソフトが開発され、点訳も容易にできるようになっています。点字データを点字プリントすれば点字のできあがりです。

 点字サークル「ほたる」(乙津由紀子代表・会員26名) は、福祉や点訳技術の学習を続けながら、点訳・点字体験講座・点字絵本製作などを通して、視覚障がい者や地域社会との交流を深めています。

 点訳では、行政や障がい者個人からの依頼で、ごみリサイクルカレンダー・電車の時刻表・旅行の日程表・英語テキストや小説などを。また、市内の小・中学校での点字体験の指導、点字絵本づくりや隔月発行の点字情報誌「ほたる」の発行、夏体験ボランティア指導など、視覚障がい者と協力し合ってボランティア活動を行っています。

見えない母が子どもに読み聞かせる点字絵本

 目の見えないお母さんが、わが子のために絵本を読んであげたい。しかし、点字の絵本は市販されているものが少ない。そのために、「ほたる」では、市販の絵本の文字のところに、透明な点字テープを貼った点字絵本を製作して提供。点字絵本が、母子の絆を強くしています。子どもに点字で絵本を読んであげたいと、点字を習った人もおられるとか。

 いまIT技術の進歩で、パソコン文章を読み上げてくれるようになっています。また、肉声で小説や新聞・週刊誌などを読んでカセットテープなどに録音して提供してくれる朗読・音訳サービスもあります。こちらは、触覚にではなく、聴覚を活用するコミュニケーションです。難しい点字を覚えなくても、すぐに利用できます。高齢になって失明した人などには、うれしい媒体でしょう。

 「ほたる」代表の乙津さんは、「どれが良いとは言えないのではないでしょうか。どれも障がい者には、親切でうれしい媒体で、何を選ぶかは人それぞれの考え方です。点字にも良さがあります。大事なことを、すぐに、何度でも、自分自身で確かめられる、という特徴です。これからも、点字を読む人がいるかぎり、私たちは点訳を続けます」と話されます。

点字の手習い初めに年齢は関係なし

点字は、指で読む読書だといえます。ITや映像文化が進展しても、活字文化が廃れないように、視覚障がい者が読んで親しむ点字は生き続けると考える乙津さんたちです。「 歳の方ですが、 歳の頃に失明し、頑張って点字を習われました。読書が大好きで、目が見えなくなっても本を読みたいと言うのです」点字学習に挑戦する人に年齢はないと、乙津さんは熱く語ります。

点字を通して視覚障がい者の支援ボランティアに力を注ぐ「はたる」は、最新のITを積極的に活用しています。会員への連絡には、HP掲示板を使い、ホームページに点訳データを公開しています。福生社協と点訳者養成講座を共催し、その修了者を仲間として迎え、その実践活動は旺盛で、力強く前進しています。

07年(平成19年)03月20日発行号