東日本大震災特集 福生市民がボランティアで貢献できること
カレンダーが希望をつなぐ支援物資に
被災地の生活に必要な物資のひとつに「カレンダー」がありました。 一瞬のうちに、かけがえのない生命や財産を奪われ、茫然自失の状態から気を取り直して「生きよう」と決意したとき、必要なもののひとつが「カレンダー」でした。先々の予定の希望まで失ってしまっていた罹災者たちに、直に接してこそ知った『生の声』です。
被災地は遙かに遠い福生市民のボランティアは何ができるか。福生ボランティア連絡協議会(ボラ協)の秋山美左江会長、岡本幸子さん、秋山浩子さんに伺いました。
復興支援は、頭で思いつく「欲しいもの」よりも、現地の生活で「要るもの」に、すぐに応えることでしょう。そのためには、災害の実際を詳しく観て、感じて、罹災者の生の声を聴くこと。ボラ協のメンバー、ブルーシート・角田四郎さんたち4名は、3月23日、岩手県岩泉、田野畑地域で活動している、阪神淡路大震災からのボランティア仲間と、現地合流するために福生を出発。大震災直後の、ライフラインがずたずたで、たどり着くルートが不明な長い道程への挑戦でした。
出発前に、新潟中越地震などで罹災者支援活動経験のある福生ボラ協メンバーと、思いつくままに必要物資と、当座の活動資金を準備しました。物資ではどんなものが必要かについては、過去の支援活動の体験などから想定できます。問題は資金面での支援です。
現地では、1ヶ月後の10万円より、今日の千円が役立つはずです。それをどのように調達するか。民間ボランティア団体であるボラ協は、資金面での支援には心許ないものがあります。しかし、すぐにも10円でも、100円でも多く届けたい。
ボラ協には、行政などからの活動助成給付金があります。それをそっくり使わずに、余剰金を蓄えてきた資金がありました。これを「こんな時に使わなくてどうする」と決議し、活用することにしました。メンバーからの寄金を合わせて、とりあえずの活動資金として現地に届けようと、ブルーシートに託しました。
福生ボランティア、再び、被災地に
3月28日、現地での綿密な調査の後、ブルーシートのメンバーは、一旦、福生に戻り、ボラ協メンバーとその後の活動を打ち合わせ、調整。現地の状況に合わせて、必要な物資、下着、くつ下、タオル、雑布等々を調達しました。生きて、これからの生活に最小限必要な物資です。被災地の現地で、いま必要なものです。
この中に生きる希望を象徴するような「カレンダー」がありました。メンバーに呼びかけると、たちまちたくさん集まりました。自宅にあっては、3月過ぎのいまでは、古紙でしかなくなった新しいままのもの。いま、使いかけのものもあります。
寄金も多く集まりました。既に、公な募金や街の募金に応じた人でも、ボラ協のメンバーを通しての募金は格別のようです。日頃、ボランティアとしての活動はできなくても、ボラ協の活動を身近に見聞きしている親近感や信頼感のせいでしょうか。必要とする人たちに、すぐにも、確実に届き、役立つことが見え、贈り主の心や元気な善意が伝わる生きた基金として、激励の手紙と共に寄せられました。
3月31日、ブルーシートのメンバーは、福生市民の「元気でがんばれ心」を2台の車両に積み込んで、再び出発しました。今回は一ヶ月間ほどの滞在予定です。活動拠点を岩手県岩泉町に置き、田野畑地域やその周辺に出向いて、東京福生の旗印のもと、復興支援のボランティア活動を続けています。
彼ら第一線で活動するメンバーは、ボラ協や支えてくれた福生市民と一体の協働者です。東日本の被災地復興のボランティア活動を共に実践しています。この活動はこれから先も続きます。現地に赴かなくてもできるボランティア活動です。市民の皆さんの一層のご理解とご協力をお願いします。
市民として被災者の市内受け入れに協力
一方、福生市も3月19日から、福島県の被災者を30名受け入れることになりまりました。ボラ協では、大震災が起こってから、9日間もさまよって、やっとの思いで福生に避難してきた方々を暖かくお迎えしようと、当局や社協全面協力。その一環として、野菜たっぷりの夕食づくりのお手伝いをしました。
米や調味料等を大勢の市民の皆さんから提供してもらい、3月21日から31日までの11日間、一緒に料理を作ったり、後片付けをしたりしました。最初の頃は、お互いに戸惑いながらも、次第に笑顔で会話ができるようになりました。
いま、皆さんは、市営住宅や民間アパートで、それぞれ暮らし始めました。そんな新生活に際して、食器類から電気製品に至るまで大勢の市民の皆さんにご協力をいただきました。
「私たちは、今後も被災地への支援と、福生に住んでいらっしやる被災者の皆さんに、少しでも頑張っていただけるようにボランティア活動を引き続き行います。被災地で今ある命に感謝しながら、一生懸命に生きようと頑張っている多くの皆さんに、エールを送り続けたいと強く思っています。福生市民がボランティアで貢献できることとして、被災地の皆さんに、喜んでいただけるご支援を、市民を挙げてお届けしたい。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします」と話すボラ協のメンバーです。いま、あなたにもできることがあります。 |