男児のお宮参りの着物。
男児のお宮参りの着物は、熨斗目、お祝い着、掛け着など、いろいろな呼び方があるが、「お祝い着」というと七五三の着物を指す場合もあるし、「熨斗目」というと、着物の意匠としてある「熨斗」や「結び熨斗」と勘違いしやすい。そこでここでは絶対に間違いのない「お宮参りの着物」という呼び方をした。
お宮参りの着物の構造上の特徴は、背縫いが無い、すなわち背中が1枚の生地でできているということ。体がこの1枚分の幅で着られる大きさである期間が、お宮参りの着物を着られる限度ということになる。女の子の場合、七五三が3歳なので、お宮参りの着物は七五三に流用できるが、男の子のばあい、七五三が5歳なので、お宮参りの着物は流用できない。
いちばん上の写真は、藤井絞のお宮参りの着物。近世初期の大名が好んできた辻が花の胴服の意匠や技法を引き継いだもの。
写真2番目は、江戸時代の武士が、裃の下に着ていた着物の形式を引き継いだもの。本来の「熨斗目」の様式。
写真3番目は、宝船と宝尽くしをテーマにしたお宮参りの着物。たいていのお宮参りの着物は「鷹」と「兜」の意匠なので子どもに対し武力で偉くなれ、と言っているように見えるが、これはビジネスで上手く稼いで金持ちになれ、と言っているように見える。
写真4番目は、絽のお宮参りの着物。お宮参りのタイミングが7月と8月に当たってしまったばあいは絽になる。女の子のばあいは、七五三に流用できなくなるので大問題だが、男の子のばあいは、七五三に流用することはないので、どちらでも同じ条件。ただし、次男が欲しいばあいは、また7,8月に合わせてつくらないといけない。 |