(環境問題にも造詣の深いC.W.ニコルさんと) (岩魚) 今回の私の一般質問の際には、約40人の関係者の方が傍聴に来てくださいました。本当にありがたく思うと同時に、身の引き締まる思いでした。 また、その後質問内容に対する問い合わせもございましたので、今回の一般質問の1回目のみ、全文を掲載いたします。 一般質問(1回目)全文 最初は、・近年の多摩川における魚の減少について(―特にアユの不漁と付着物の灰分測定結果との関連から―) であります。 昨年4月、青梅市において「梅綸紋ウイルス」、いわゆるプラムポックスウイルスがわが国で初めて発見され、青梅市の観光産業の中心の一つである、梅林の今後が大変に心配されているところであります。 この問題と同じように、青梅市における観光産業、あるいは伝統文化にとっても憂慮すべき問題がおこっております。それが多摩川における魚の減少の問題であります。と申しましても、実際に魚種別の生態調査の結果が出ているという話ではなく、あくまでも釣り人など、常に川と向き合っている人たちの話ではありますし、原因も川の水質や冷水病・川鵜による食害など様々な話が出ておりますが、多くの方たちが同じ感想を持っております。そこで今回の一般質問では、特にアユの不漁と付着物の灰分測定結果との関連から問題提起をしてまいりたいと思っております。 青梅市を含む多摩川上流部には、ヤマメ・イワナといった渓流魚や、子ども達が最初に親しむであろうハヤ、(標準和名で言えばウグイです)、カジッカ(これも標準和名で言えばカジカになります)、コイやフナ・ドジョウなど様々な魚がおります。 中でもアユは多摩川を代表する魚の一つであり、古くはすでに鎌倉時代から文献に登場しており、江戸時代には幕府に上納され、今で言えばブランドアユとして高い評価を受けてきました。近代においては、大正2年6月、東京帝国大学の石川千代松博士が、琵琶湖の小アユ数百匹を移植し、遡上アユのように大型に成長するかという、当時としては画期的な実験を、私の住まいからも程近い、多摩川の大柳川原において行ったことは有名であります。この実験の成功により、後の全国河川への放流事業が始まったわけでありますから、日本で最初のアユの放流地が我が青梅市にあるということは、市の歴史的財産であるともいえるのではないでしょうか。釜の淵公園内には、この史実をたたえる「若アユの像」があることは市長もよくご存知のことと思います。また、6月中旬のアユ漁解禁ともなれば、地元の釣り人はもとより、遠く他県からも多くの釣り人が集まり、その光景は初夏の風物詩でもありました。 しかしここ数年、アユが釣れなくなる傾向が続き、今年などは解禁日はもとより、解禁前の試し釣りでもほとんど釣果がなく、本来であればアユ釣りの人で賑わう夏の川原に釣り人の姿を探すのが難しいほどでありました。実際、奥多摩川漁協におけるアユの入漁券の売り上げも、平成18年度には8,661,000円あったものが、昨年21年度は5,337,000円と、300万円以上のダウンになっております。さらに今年は昨年を下回ると思われ、単に漁協のみならず、おとりアユの販売店を始め、飲食や宿泊といった周辺への影響も考え合わせれば、青梅市の観光産業にとって大きなマイナスなのではないのでしょうか。 ではアユの不漁の原因は何なのかということになるわけですが、多摩川の水質そのものはBOD値など、科学的な尺度においては環境基準をクリアするきれいな水であることは確認されています。また、川鵜による食害についても、8月21日のスポーツニッポンに掲載された東京海洋大学の奥山客員教授の、「上流と下流で正反対…生態微妙な多摩川」という記事によれば、多摩川の下流域では、川鵜による食害を上回る川の生産力があり、この夏もアユの魚影は濃かったそうです。そこで今回私が注目したのが、川底の石などに付着するコケなどの物質に対する、灰分測定の試験結果であります。この試験は、付着物を乾燥させた後に燃焼させ、残留する灰分の質量を100分率で求めるもので、青梅市からの環境保全関係検査業務委託として、八王子にあります環境管理センターの分析センターが、楓橋・和田橋・市民球技場の3箇所を定点として毎年数回行なっているものであります。 アユは年魚とも言われ、春に遡上してきた稚魚が、河川の中・上流部で、川底の石に付着した珪藻類を食べ急激に成長するのですが、その際付着物に極めて細かな沈殿物が混じっていると餌としての質を落とすことになるわけです。灰分測定結果から具体的に言えば、残留灰分が45%以下ならば良好な飼となりますが、その値が60%を超えるとアユの成長に何らかの影響を与え、80%を超えると成長できない、つまりその河川ではアユが住めないといわれています。 平成20年2月28日の試験以降、今年の5月11日の試験まで、先に上げた3箇所の定点で8回ずつ、併せて延べ24回の試験が行なわれましたが、その結果全てで残留灰分が50%を超えております。その内60%を超える数値は21回、さらに80%を超える結果が出た回数は4回もあり、この灰分測定の試験結果を見る限り、現在の青梅市内の多摩川は、アユが健康的に生育できる環境にないことは明らかです。そして、この細かな沈殿物が川底に堆積することにより、ヤマメやイワナの餌となるトビケラの幼虫などの低性生物の成育を阻害し、水通しの良い小砂利に産卵するハヤの産卵床をつぶし、石の隙間に住むカジッカの住みかを奪っていると考えると、多摩川上流域における魚の減少の全てに辻褄があってくるわけです。 青梅市を流れる多摩川については、万年橋より上流が東京都、下流が国の管理であり、市が一義的な対策を講じるのは難しいことは理解いたしますが、この灰分率が高い数値で変動しているという事実を、青梅市としても認識していただくとともに、付着物に含まれる微細な沈殿物がどのようなものであり、その原因はどこにあるのかを調査検討していただき、未来の子ども達にアユやヤマメ・ハヤなどが群れ泳ぐ豊穣な川として引き継いでゆく責任は青梅市にもあるのではないでしょうか。このような点についての現状と課題、さらに今後の対策などについて市長のお考えをお聞かせください。 次は・敬老の日に高齢者の同居家族に対しても表彰を(―家族の絆を見直す機会としての敬老の日に―) という質問であります。 今年7月28日に東京都足立区の民家で、生きていれば111歳であった男性のミイラ化した遺体が見つかった事件をかわきりに、身元確認ができない高齢者が全国で相次いでいるというニュースがテレビや新聞に何度も取り上げられ、社会問題となっておりますことはご承知のとおりです。今月1日にも、大阪府和泉市で、生きていれば91歳であった男性が、たんすの中からポリ袋に入った状態で発見され、警察が同居していた長女から事情を聞いているという事件があったばかりです。しばらく前までの身元確認ができない高齢者といえば、身寄りがないなどの理由で、一人住まいの高齢者が孤独死していたといった事件は時々起こり、そのたびに、もう少し行政を含む地域社会が見守ることができなかったのかという議論がなされてまいりました。しかし家族がいながら身元確認ができないという事態は想定外のことではなかったかと思います。私は、これは、地域はもとより家庭の中でさえも人間関係が希薄になってゆく現代社会が生んだ悲劇だと思っております。 そんな高齢者を取り巻く社会情勢の中、今年も今月の20日には敬老の日を迎えるわけです。青梅市では、敬老の日には市長自ら、在宅で満100歳を迎えられた方の家庭を訪問し100歳の長寿お祝いし表彰を行なう、敬老訪問事業を行なっております。昨年は私のご近所のおばあさんが満100歳を迎えられ、この敬老訪問事業で市長がおこしになられたことを、家族の皆さんとともに大変喜んでおられました。毎年3・4人しか対象者がいないという小さな事業ですが、とても良い事業だと思っております。ご高齢になられても在宅で過ごされるということは、当然ご本人のご努力によるところが大きいのでしょうが、見方を転じて見ますと、一緒に暮らす家族のバックアップもまた大きな価値があるのではないでしょうか。そこで、高齢者と暮らす家族に対しても表彰をすることにより、家族の絆を見直す機会としての敬老の日にしてはいかがか、というのがこの質問の趣旨であります。 青梅市にも100歳以上の高齢者が60人あまり居られるわけでありますが、今年の8月1日時点での住民基本台帳人口と、8月13日発行の西多摩新聞の記事による100以上の高齢者数から、在宅者の割合を他の西多摩の市と比較しますと、青梅市が人口139,861人に対して23人、あきる野市が81,815人に対して6人、福生市が60,214人に対して5人、羽村市では57,748人に対して9人となっております。これを率にしますと、羽村市とはほぼ同じですが、100歳以上の高齢者については、在宅者の割合が西多摩のなかで青梅市が一番高いわけです。このことは、様々な社会保障制度にかかる公的資金の抑制といった実利以上に、家族が、あるいは地域社会が高齢者を大切に思う環境が残っている証として、青梅市が誇れることなのではないでしょうか。 毎年敬老の日のニュースでは、各自治体が趣向を凝らした敬老会を実施していることが取り上げられております。しかし、一方では冒頭申し上げましたように、家庭の中でさえも人間関係が希薄になっていると感じさせる事件も起こっているのが現代社会の現実であります。青梅市におけるこれからの敬老会のあり方として、単にご高齢を祝う行事というだけでなく、今忘れ去られようとしている家族というものを再認識する機会とし、親や祖父母に対する敬意、子や孫に対する感謝の気持ちのあふれる敬老の日とすることが、とても大切なことであると私は思います。そして家族の絆を大切にしてゆくことが、今後さらに加速していくであろう少子高齢化社会に対応していくことにもつながるのではないでしょうか。 実施方法としては、最初は、満100歳の方に対する敬老訪問の対象家庭や、寝たきり等、介護度の高い高齢者を在宅で介護している家庭だけでもけっこうです。この程度の範囲で行なえば、対象者も少なく予算もそれほど必要ではありません。当面はそういったところから始め、青梅市の敬老の日に対す基本理念といったものの裾野を、そこから広げていっていただければよいと考えております。 現在ある日本を支えてきていただいたお年寄りが、その所在がわからない、いつ亡くなられたかさえわからないといった悲劇が青梅市においておこらないためにも、また何よりも、青梅市が温かい家族の絆であふれる街になることを願い、この提案につきましての市長のお考えを伺います。 |